[J2第38節、ジェフユナイテッド千葉 5-0 FC今治、11月29日、千葉・フクダ電子アリーナ]
千葉は今治に5-0で大勝。2025明治安田J2リーグを3位で終え、J1昇格プレーオフ(PO)に回る。
この試合で先発出場したMF椿直起は果敢なドリブル突破とクロスでチャンスを演出。守備でも激しいプレッシャーを披露したが、負傷によりハーフタイムで途中交代した。
痛みを抱えながらも出し尽くした45分間
前半終了を告げる笛と同時に、ピッチ中央に倒れこんだ。
「前半の途中から本当に痛すぎて、記憶がないくらいでした。ただ『前半だけはやろう』と決めていましたし、本当にきょうで昇格を決めるつもりで、その次は考えていなかった。毎試合そうですけど、余力は残さずに後悔のないようなプレーができたかなと思います」と45分間で力を出し尽くし、担架で運ばれた。

担架で運ばれた椿(写真:縄手猟)
リーグ戦全試合に出場し、4得点5アシストを記録した椿。得意のドリブル突破と献身的な守備で、今季の千葉を支え続けてきた。
この日も左サイドで先発出場し、これまでとそん色ないパフォーマンスを披露したが、「もともと、ここ数試合は完全にフレッシュな状態ではいられていない」と明かした。決して万全のコンディションで試合当日を迎えたわけではなかったものの、大一番にかける想いは強かった。
「言い訳もしたくないので、何か深く言うことはないですけど、みんな毎試合ギリギリで戦っています。だからこれは昇格した後に、みんなに笑い話として話したいと思っています。
自分の100パーセントの状態で毎試合臨んでいるし、慶行さん(小林慶行監督)もそれを信じてくれています。もちろん僕のパフォーマンスが悪ければ、代えてもらって大丈夫と伝えていますし、すべては自分のピッチでのパフォーマンスで決めてもらっています」

ドリブル突破を試みる椿(右、写真:縄手猟)
背番号14の奮闘もあり、最終節を5-0の大勝で終えた千葉。惜しくもJ1自動昇格圏内には届かなかったが、イレブンはJ1昇格POに回ることが決定した。
試合後には、自力でミックスゾーンを歩きながら報道陣の取材に応じた椿。痛めたと思われる右足首はアイシングされていたが、表情は暗くなかった。
12月7日の午後1時にホームで行われる6位RB大宮アルディージャとのJ1昇格PO準決勝に間に合うかどうかは不透明だ。それでもドリブラーの口からは「最大限の準備はしたい。気持ちが折れているわけではないので、自分がやれることをやりたい」と力強い言葉が返ってきた。

ドリブルする椿(写真:縄手猟)
「ここ数試合でのウチのパフォーマンスはJ2の中でも一番だと思っていますし、プレーオフの怖さは千葉もすごく分かっている。本当に自信を持って次の試合に臨めばどこが相手であろうが、千葉のサッカーができると思いますし、それにともなって結果もついてくると思う。
ぜんぜんネガティブに捉えていないですし、もともと自力での昇格はなかったわけで、やるべきことはやった。次に切り替えている選手ばかりだと思います」
小林監督下で3年目を迎える千葉はJ1昇格POを勝ち抜き、17季ぶりのJ1復帰をつかみ取りたい。

クロスボールを上げる椿(写真:縄手猟)
椿は「大丈夫ですよ。逆にこのメンバーでまた2試合できるというのもある。サポーターのみなさんのために頑張りたい」と最後まで闘い続ける。
(取材・文:浅野凜太郎、写真:縄手猟)
