日本代表MF三笘薫が所属しているブライトンのオーナーであるトニー・ブルーム氏が、現在元同僚のライアン・ダッドフィールド氏から未払金を巡っての訴訟を起こされている。その中で、ブルーム氏が行っている賭博ビジネスの内容がメディアで報じられて話題になっている。

トニー・ブルーム氏は世界で最も成功したギャンブラーの一人と言われている。

1990年代にブックメーカー(賭博会社)の社員として国際ギャンブル事業を立ち上げ、2000年代にはオンラインベッティングサイトやオンラインポーカーサービスを成功させて一財を築き上げた。

そして2006年には自身の会社スターリザード・コンサルティングを設立し、データ分析を駆使した予測をもとに高額の資金をギャンブルで運用しているほか、統計モデルを利用して多くのギャンブラーに情報を販売し、年間6億ポンド(およそ1200億円)もの莫大な利益を上げているという。

ただし、ブックメーカー側はそのように多額の掛け金を頻繁に運用するギャンブラーを嫌うため、賭博のサイトやサービスから締め出されることが多い。

『Guardian』の記事によれば、スターリザードはそれを避けるため、サッカー選手やビジネスマン、有名人の口座を借り受けて、その名義でギャンブルを行い、利益の中から一定の報酬を支払う…というシステムが使われるそう。しかも損失については全額スターリザード側から補填されるとのこと。

今回の訴訟において争われているのは、英国の政治家ナイジェル・ファラジ氏の側近であるジョージ・コットレル氏の口座を巡っての未払金だ。

コットレル氏の口座はスターリザードに秘密裏に預けられており、スターリザード側がコットレル氏の名義を使って掛け金を運用し、サッカーの試合などに賭けることによって多額の利益を得ていたという。

2008年から2017年までスターリザードで働いていたダッドフィールド氏は、「コットレル氏をスターリザードに紹介したのは自分であり、利益の7%にあたる1750万ドル(およそ27億円)を受け取る権利がある」と主張しているほか、自身が辞職したあとの利益も分配されるべきだと訴えているとのこと。

なお、プレミアリーグのみならずFIFA管轄のサッカー競技においては、関係者がサッカーの試合にお金を賭ける行為が禁止されているものの、トニー・ブルーム氏は2014年に特別な許可を受けてスターリザードとの関係を維持しているとのこと。ただ、ブライトンやプレミアリーグの試合、チームが関与する大会の試合にはお金を賭けることができないという条件がついている。

『The Argus』によれば、スターリザードがサッカーの試合に違法な賭けをしている兆候はなく、この裁判は純粋にトニー・ブルーム氏の個人的なビジネスに対する訴訟であり、ブライトンへの直接的な影響はないという。

筆者:石井彰(編集部)

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