［J1昇格プレーオフ2025決勝、ジェフユナイテッド千葉 1-0 徳島ヴォルティス、12月13日、千葉・フクダ電子アリーナ］
千葉は徳島に1-0で勝利し、17季ぶりのJ1復帰を果たした。
この試合で決勝点を沈めて喜びを爆発させたブラジル人FWカルリーニョス・ジュニオは、試合後に涙を流しながら、クラブへの愛を語った。
大好きなクラブをJ1に導く決勝点
16年間の長いトンネルから抜け出し、ついにオリジナル10の千葉がJ1に戻る。
ホーム・フクアリに徳島を迎えた千葉は前半の立ち上がりから攻勢を強めた。対する徳島もカウンターからチャンスを演出。拮抗した展開のまま、後半に突入した。
「とても素晴らしい景色が広がっていて、自分たちが苦しいときに、プラスアルファの力を引き出してくれるような声援でした」と、満員のスタジアムを見つめながら語ったカルリーニョス。
今季途中に千葉へ加入した同選手が、この日のヒーローになった。
（写真：縄手猟）
後半24分に、MF髙橋壱晟（いっせい）が右サイドでボールを受けると、そのままアーリークロスを供給。ボールは鋭い軌道を描きながらボックス内のカルリーニョスにつながり、渾身のヘディング弾を叩き込んだ。
「ボールが頭に当たった瞬間に（ゴールに）入ると確信しました。まず、壱晟のクロスが完璧だった。そして自分が9番（ストライカー）としてのポジショニングを的確にとっていた。みんながそれぞれの役割を全うしたから生まれたゴールだと思います」と3試合連続弾を決めて、スタジアムを熱狂させた。
その後は徳島にボールを握られる時間が続くも、イレブンは一丸となってゴールを死守。そしてついに試合終了を告げるホイッスルが鳴ると、カルリーニョスの目から涙がこぼれた。
「いろいろな苦労が頭をよぎって、涙ぐんでしまいました。ジェフに来てまだ日は浅いですが、もう何年もいるような気持ちです」
（写真：縄手猟）
昨季は清水エスパルスに在籍し、同クラブのJ1昇格に貢献した。しかし今季途中は13試合無得点のスランプに陥る時期も経験するなど、決して順風満帆な日々ではなかった。
それでも、小林慶行（よしゆき）監督から「別格」と称される圧倒的な個人技と、献身的な守備でチームを支え続け、最終的にはリーグ戦10得点を記録。今季途中から千葉に加入し、ストライカーとしての任務を果たした。
ブラジル出身であり、決して千葉の歴史にも造詣が深いわけではない。だが、このクラブと仲間たちへの愛は人一倍強いものがある。
「（千葉がこれまで戦った）過去5回のプレーオフに僕は参加していません。でも、このチームが大好きで、その特別な気持ちがこの昇格につながった。
17年間という長い時を経て、自分たちはようやくJ1への扉を開くことができましたし、それに値するチームだったと思います」
（写真：縄手猟）
自らのゴールで大好きなクラブのJ1への扉をこじ開けたカルリーニョス。異国からやって来た男は“助っ人”ではなく、最強のチームメイトとして千葉を本来いるべき場所に戻した。
（取材・文：浅野凜太郎、写真：縄手猟）
