日本プロサッカー選手会(JPFA)が主催する『JPFAトライアウト』が17日に大阪府内で開催され、今季契約満了を言い渡されたJリーガーたちがピッチ上でスカウトにアピールした。
今季J2ジェフユナイテッド千葉からFCティアモ枚方(JFL)に期限付き移籍していたFW新明龍太は、両クラブから退団のリリースが発表されていなかったが、同トライアウトに参加。
千葉の生え抜きとして期待されながらも、同クラブで公式戦16試合1得点に留まった新明が、悔しさを口にした。
絶対にジェフに戻る
17季ぶりのJ1復帰の瞬間はフクダ電子アリーナのスタンドから観戦していた。
今月13日のJ1昇格プレーオフ決勝で徳島ヴォルティスを破り、16年間のJ2生活から脱出した千葉。
試合後にはピッチ上へ降りて仲間たちと喜び合った新明だったが、「小さいころからお世話になっていたクラブで、僕が選手のうちに昇格できたことは素直にうれしかったです。でもやっぱり、自分がそのピッチに立っていないことが悔しかった」と、生え抜きは複雑な想いを抱えていた。
中学1年次から千葉の下部組織に在籍し、2023年には同い年のDF矢口駿太郎(今季はJFL沖縄SVに期限付き移籍)とともにトップチーム昇格。順調にプロへの階段を駆け上がった。
プロ初年度はリーグ戦8試合1得点を記録するも、2年目は公式戦6試合無得点。今季は再起を図ってJFLの枚方へ期限付き移籍したが、リーグ戦23試合無得点でシーズンを終えた。

ボールをキープする新明(写真:浅野凜太郎)
「ユースを卒業した選手として、チームにいないといけない」と千葉で活躍したかったが、今回のトライアウトに参加。17日のトライアウト参加者リストに記載されていたが、不参加となった矢口と同様に、千葉と期限付き移籍先のクラブから退団リリースは出されていなかった。
新明は、直接別れを言えなかった両クラブのサポーターに向けてメッセージを送った。
「これからリリース文を書いて、お世話になった千葉と枚方のサポーターに感謝の気持ちを伝えたいです。特にジェフは、子どものときからサポーターでしたし、中学時代から9年間もお世話になった。やっぱり自分はジェフという素晴らしいチームで活躍したかったので、悔しい気持ちでいっぱいです」

チームメイトの紅白戦を見守る新明(写真:浅野凜太郎)
急造チームの中でプレーを披露しなければいけないトライアウト。初参加となった新明は慣れない環境に緊張していたが、時間が経つにつれて持ち味を発揮していった。
11対11で行われた紅白戦では、ボックス内に飛び込んでいき果敢にシュートを放つ場面も。ストライカーは「まだまだこれから。これで終わったわけじゃない」と、今後の目標を力強く語った。
「現状はチームの戦力になれていない。これからもっと成長して戦力になって、絶対にジェフに帰ってきたいです」

シュートを放つ新明(写真:浅野凜太郎)
21歳のキャリアに新たな目標ができた。
新明はJリーグでの戦いを希望しているが、たとえどのカテゴリーに所属しても「やるだけ」と息を巻いている。
月日はかかるかもしれない。それでも自分の力で未来を拓いていき、本来いるべき場所に必ず帰る。
(取材・文・写真:浅野凜太郎)
