日本プロサッカー選手会(JPFA)が主催する『JPFAトライアウト』が17日と18日に大阪府内で開催された。
今季限りでJ1横浜FCを契約満了で退団したDF橋本丈は18日に参加し、3本行われた紅白戦にすべて出場してスカウトにアピール。
今季期限付き移籍していた関東1部のVONDS市原FCではクラブ史上初のJFL(日本フットボールリーグ)参入に貢献する充実のシーズンを過ごしたが、トライアウト後には悔しさをにじませた。

トライアウトに参加した橋本(写真:浅野凜太郎)
諦められないJリーグへの想い
「自分の力不足です」
自身初のトライアウトを終えた橋本は唇をかみしめながら、ここまでのプロキャリアを振り返った。
2024年に横浜FCに入団するも、出場はJリーグ杯2試合と天皇杯1試合に留まり、リーグ戦の舞台に立てないままクラブを去った。
「まったく試合に出ていなくても、サポーターのみなさんには応援していただいた。試合に出られず、チームのために何もできていない自分なんかが応援してもらえて、本当に申し訳なかったです」

ピッチを見つめる橋本(写真:浅野凜太郎)
今季は自身の力を証明するには十分なシーズンを送っているように見えた。
期限付き移籍したV市原では、左サイドバックの主力として公式戦25試合で活躍。左足から繰り出される高精度のクロスで攻撃を活性化させ、クラブ史上初のJFL参入に貢献した。
「横浜FCに残っても試合に出られないという自分と強化部の判断で、試合に出られるチームを探して、VONDSに行くチャンスをもらいました」と、これ以上ない成果を期限付き移籍先で残したが、プロサッカー選手としてのきびしさを味わった。

V市原でプレーした橋本(写真:浅野凜太郎)
横浜FCを契約満了で退団した橋本のもとには、現時点ではどこのクラブからもオファーが届いていないという。一年間戦ったV市原との話し合いは今後行われる予定だが、「いいシーズンは送れたんですけど、自分にとってのいいシーズンというのは、まだまだレベルの高いところにはないんだと思います。カテゴリーが変われば何もかも違う」と、この日のトライアウトに参加した。
トライアウトでのプレーは事前に先輩たちから聞いていた通り、一筋縄ではいかなかった。得意とする攻撃参加を試みるも、急造チームの中では“ここぞ”といった場面でボールが出てこない。チームメイトたちとの連係に苦戦し、本来のプレーは出せなかった。
それでも、3本行われた紅白戦にすべて出場するタフさは見せるなど、随所でここまでのプロキャリアで培ったものは披露できた。

トラップしてパスコースを探す橋本(写真:浅野凜太郎)
「諦めたくないので。やっぱりJリーグでやりたいという気持ちが強くありますし、やれるだけやろうと思っています」
必ずJリーグのピッチに立ってみせる。橋本は横浜FCへの感謝を口にしつつ、今後の決意を力強く語った。
「やっぱりピッチの上で、チームに貢献している姿の自分を応援してほしいです。どんな形になるかは分かりませんが、また三ツ沢のピッチでプレーしたい。たとえ違うチームに行っても結果を出して、応援してくれた方々にいい報告を届けたいと思います」

横浜FCのジャージ(写真:浅野凜太郎)
この悔しさを糧にして、必ずJリーグの舞台に戻ってみせる。橋本丈は諦めない。
(取材・文・写真:浅野凜太郎)
