[第104回全国高校サッカー選手権大会決勝、学校法人神村学園高等部(鹿児島県代表) 3-0 鹿島学園高等学校(茨城県代表)、12日、東京・MUFGスタジアム(国立競技場)]
神村学園高が決勝戦で鹿島学園高を3-0で下して選手権初優勝。史上6校目となる夏冬2冠を成し遂げた。
先発出場したFW倉中悠駕(ゆうが、3年、日南市立吾田中学校)はどん欲にゴールを狙い続けるも、得点を奪えず。
今大会の得点王を目指しながらも、通算6得点の2位で大会を終えたストライカーは、この日の悔しさを大学サッカーにぶつける。

今大会通算6得点の倉中(写真:縄手猟)
得点ランキングトップに立った仲間に焦りも…
倉中が狙っていた得点王には、チームメイトでライバルのFW日髙元(はじめ、3年、神村学園中等部)が輝いた。
前半19分に味方選手が放ったシュートのこぼれ球に詰めていた日髙は、ボックス外から左足を振りぬいて貴重な先制点を記録。同選手はこの得点で今大会通算7得点目を記録し、ランキングトップに躍り出た。
倉中の中で焦りが生まれた。
「ハーフタイムに(有村圭一郎)監督からも言われたんですけど、『自分が決める』という気持ちが強すぎて、チームに貢献できていないと…」

得点王になった日髙(写真:縄手猟)
背番号9はライバルの記録に追いつこうと果敢にゴールを狙うもきびしいマークに遭って、なかなかシュートを打たせてもらえなかった。
前半31分に迎えたペナルティキックのチャンスでは、味方選手の放ったシュートのこぼれ球にいち早く反応したが、「ここにボールが来るだろうと思っていたところに来たんですけど、キワを狙いすぎてポストになってしまった」と天を仰いた。
準決勝の尚志高(福島県代表)戦でもゴールを挙げられず、「何もできなかったのが一番悔しかった」とこの試合にかける想いが強かった倉中。
何としてでもゴールがほしかったが、後半はエゴを押し殺して、チームのためになるプレーを心がけた。

倉中(写真:縄手猟)
「後半は切り替えて、チームのために走ることを意識しながらプレーできました。だから悔いはありません」
試合は3-0で神村学園が勝利し、選手権を初制覇と史上6校目となる夏冬2冠を達成した。
倉中は、今大会通算7得点で得点王に輝いたライバルの日髙に「おめでとう」と祝福の言葉を送った。そしてすぐさま「大学でもっと強くならないといけない」と覚悟を強めた。
「マークに付かれた中でもはがせるように成長しないといけない。もっと動いて、ニアに走ったり、ファーに逃げたり、そういう動きをやらないといけないと思いました」

クロスを上げる倉中(写真:縄手猟)
卒業後は国士舘大に進学し、Jリーガーを目指す。プロ内定3選手を擁する神村学園でも、彼らに負けじと、トレーニングに励んできた同選手にとって、この日の経験は次へのエネルギーになる。
「もちろん一番の気持ちはうれしいです。でも悔しさは大学でぶつけたいと思います」
選手権優勝校のストライカーとして、大学ではこれまで以上に警戒されるだろう。それでも「この選手権でいろいろな部分で成長できた」と自信をつけた倉中なら、ゴールを量産してくれるはずだ。
(取材・文:浅野凜太郎、写真:縄手猟)


