史上初となる48カ国が参加した北中米W杯は、アルゼンチンを延長戦の末1-0で下したスペインの優勝で幕を下ろしたが、その熱狂も冷めやらぬ中、明治安田Jリーグ(以下、Jリーグ)の新シーズンが8月7日に幕を開ける。

LINEヤフー株式会社が主催したイベント「Hello Friends! W!th LINEヤフー」では、同社のプロダクトを活用し成果を上げているマーケティングの最新事例として、過去最高の1350万人が来場者数を記録したJリーグのファンマーケティングに関するプレゼンテーションが行われた。トークセッションの模様を改めて振り返ってみたい。

リーグの課題は「ファンベースの拡大」 

画像1: (C)主催者提供

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登壇者のプロフィール(右から)

・公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)執行役員(マーケティング事業担当)
 兼 マーケティング事業本部本部長 鈴木 章吾氏

・Jリーグ特任理事 小野 伸二氏

・LINEヤフー株式会社OA・MINIセールスSBUソリューション推進ユニット
ユニットリード 橋本 久嗣氏

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「Jリーグのマーケティング戦略のメインミッションは、一言で言うとファンベースの拡大です」

昨年は過去最高の1350万人がスタジアムを訪れたJリーグ。鈴木氏は「サッカーやJリーグに関心を持っていただける方をどのように増やし、来場者数や売上の最大化を目指していくか。それが重要なミッションになると思う」としたうえで、今後の展望についてこう続けた。

「これまで以上にJリーグに関心を持っていただける方が増えると、それに伴い放映権や入場料を含めたリーグの収入は増え、チーム強化に投資できるようになることで、やがて試合の水準も上がっていく。toCでの取り組みが、リーグの成長サイクルの出発点となると考えています」

新規ファンをどのようにスタジアムに呼び込むか

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そして鈴木氏は、 観戦頻度や関心度を軸にファン・サポーターを9つの層に分類する顧客分析の枠組みである「9segs®」の指標を元に、現在力を注いでいる「リーグを知ってはいるものの、観戦経験のない数千万人に及ぶ方々」に向けたプロモーションについて、プレゼンテーションを展開した。

Jリーグを知ってはいるものの、観戦経験のない数千万人に及ぶ方々」に向けたプロモーションについて、プレゼンテーションを展開した。

現在のJリーグは「獲得型」と「関心増幅型」の施策に分けて、プロモーションを展開しているとのこと。

「メディア露出やコンテンツの配信によって、まずは関心を持つ層の裾野を広げ、現地での楽しい経験によって、ファンの獲得につなげていくようにしています」

JリーグIDやLINEも駆使したマーケティング事情

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鈴木氏がそう話すJリーグのマーケティングの鍵を握るのが、Jリーグのさまざまなサービスが利用可能な「JリーグID」だ。

2026年7月時点で550万人ほどのIDが蓄積されているデータを用いながら、ユーザーの体験価値を高めていく施策に力を注いでいるという。

だが「JリーグID」を使ったマーケティングは、コアなファン層に対しては効果が期待できるものの、ライトユーザーに対してはまだまだ不十分なものだそう。

だが、ライト層に向けた有効なアプローチ手段になりうるのが、現在約一億人のユーザーを抱えるLINEやLINEミニアプリを使った施策である。

セッションでは、これまでのJリーグが積極的に行なってきた代表的な施策の紹介と、その狙いが鈴木氏によって明かされた。

1. 大規模な招待施策

Jリーグは、近年、大規模招待施策にかなりの力を注いでいる。「バラマキではないか?」という批判と隣り合わせの招待施策に、なぜリーグが力を注ぐのか。その背景には「JリーグID」を使ったマーケティング施策があった。

「招待券の申込には、JリーグIDの登録が必須です。一度IDに登録し、実際に試合観戦に来ていただいた方が、その後にチケットやグッズの購入に至っているのか。皆さんの定着状況が可視化できるような仕組みが、実は整えられているんです。大規模招待施策は、これまで実施していたWebフォームでの受付フォームに比べて多くの方に申し込んでいただき、新規ユーザーも2.5倍くらいに跳ね上がるという実績が出ており、私たちとしては“バラマキ”ではなく“サンプリング”に近いものと捉えています」

鈴木氏によると、2025年シーズンは、招待券の抽選にのべで約285万件の応募があり、そのうちの20〜30%にあたる人々が再びスタジアムに足を運んだそう。連休や夏休みといった、リーグが盛り上がる期間における招待施策は定着率が高く、リーグの人気そのものや入場者数の押し上げ材料になっているようだ。

「招待券の申込には、JリーグIDの登録が必須です。一度IDに登録し、実際に試合観戦に来ていただいた方が、その後にチケットやグッズの購入に至っているのか。皆さんの定着状況が可視化できるような仕組みが、実は整えられているんですよ。おかげさまで招待施策の効果は絶大で、多くの方に申し込んでいただいており、これまで実施していたWebフォームでの受付フォームに比べて新規ユーザーも、2.5倍くらいに跳ね上がるという実績が出ており、私たちとしては“バラマキ”ではなく“サンプリング”に近いものと捉えています」

鈴木氏によると、2025年シーズンは、招待券の抽選に約285万件の応募があり、そのうちの20〜30
%にあたる人々が再びスタジアムに足を運んだそう。連休や夏休みといった、リーグが盛り上がる期間における招待施策は定着率が高く、リーグの人気そのものや入場者数の押し上げ材料になっているようだ

2.LINEミニアプリを活用した紹介施策「LINEで誘い誘われ」

「Jリーグのアンケートで、観戦の理由を訪ねると、「友だちなどに誘われた」という項目が毎回上位にランクインしています。

かつては個人の関係性や「口コミ」をベースにしたしたものが多く、その効果測定が難しい傾向がありましたが、ミニアプリの『LINEで誘い誘われ』機能を使えば、LINEミニアプリ上で行動履歴が把握できるようになっており、私たちにとっても有効な機能です。

わざわざアプリをダウンロードせずとも、LINE上の友だちをピックアップして、互いを誘い合うことができる。これは本当にLINEの一番のメリットを生かした形なんじゃないかなと思います」

3.IPコラボ

まずは未認知層・認知未利用層の関心を引き寄せ、その後に関連性を深めていく施策として、人気IPとのコラボレーション施策もこれまでに展開してきた。

今年3月の『明治安田Jリーグ百年構想リーグ』、FC東京対横浜F・マリノス(MUFGスタジアム/国立競技場)では、人気スマートフォン向けアプリゲームの「アイドリッシュセブン」とのコラボレーション企画が実現。LINEスタンプやコラボスタンプの配信をきっかけに、新規のユーザー獲得を目指した。

鈴木氏によると、「このスタンプをダウンロードした約80%が女性ユーザーだった」とのこと。全体のうち約60〜70%を男性の観客が占めるJリーグに、新たな風を呼び込む施策となった。

今年3月の『Jリーグ百年構想リーグ』、FC東京対横浜F・マリノス(MUFGスタジアム/国立競技場)では、人気スマートフォン向けアプリゲームの「アイドリッシュセブン」とのコラボレーション企画が実現。LINEスタンプやコラボスタンプの配信をきっかけに、新規のユーザー獲得を目指した。

鈴木氏によると、「このスタンプをダウンロードした約80%が女性ユーザーだった」とのこと。全体のうち約60〜70%を男性の観客が占めるJリーグに、新たな風を呼び込む施策となった。

4.「お気に入り選手登録」機能と「推し選手動画」

続けて紹介されたのが、ユーザーの「推し選手の動画」を通して、チームやリーグに対する関心を引き上げる事例だ。

継続的にスタジアムを訪れ、チームに声援を送るようになったユーザーに向けた施策だが、あらかじめ応援している選手の情報を登録しておくと、試合で選手が活躍するシーンをまとめたハイライト映像が送られてくるというもので、既に多くのファン・サポーターからの支持が得られているそう。

そしてトークセッションは、「これまではLINEを通してリーグの情報を認知し、そこからファンになっていただくまでのフローや、チケットの表示については整備できましたが、飲食物のモバイルオーダーなどのようなスタジアムDXに結びつくような施策は、まだまだ改善の余地が残されているように感じます。またLINEとJリーグIDの連携によるマーケティング施策によって、さらなるコアなファンを増やせるとも思っているので、今後はそういった取り組みにも今後は力を注いでいきたいです」という鈴木氏の言葉で幕を下ろした。

8月開幕に移行して初の明治安田Jリーグの新シーズンが、8月7日に幕を開ける。新たな転換点を迎える中、日々試行錯誤しながら行われているリーグの施策が、その盛り上がりをさらに加速させることになるだろう。

取材:JUN S

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