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12月13日、ウェストハム・ユナイテッドのディーン・アシュトンが引退を発表した。足首の怪我が長引き、回復の見込みがないことが理由だった。
アシュトンは2000年にクルー・アレクサンドラでデビューし、ノーリッジを経て2006年にウェストハムに加入した。クルー時代からそのパワフルなプレーは評価が高く、アーセナルが獲得を検討したこともあった。引退の原因となった怪我は、2006年8月、イングランド代表の合宿でショーン・ライト=フィリップスと衝突した際に負ったもの。アシュトンは数日後のギリシャ戦で代表初キャップを刻むはずであった。近年3部から代表まで上り詰めた選手はアシュトンだけであり、アラン・シアラーの後継者として大きな期待を寄せられていた彼が代表合宿で負った怪我で引退することになったのはなんとも皮肉である。
アーセン・ヴェンゲルは「アシュトンが引退しなければならないとはとても残念だ。彼は知的で、有能な選手だったからね」としたが、一方で「悲しいことではあるが、我々の世界は健康次第なんだ。良い選手であることの第一条件は健康であることだが、我々はよくそれを忘れてしまう」と、アシュトンが選手として一流になりきれなかったことを指摘している。
イングランドでは怪我がちで試合に出られない選手を“Sick note”(病欠証明書。病欠を証明するために親が学校に出す書類)と揶揄するが、将来への不安を抱えながら、医務室とトレーニングルームを往復する毎日の選手たちの心情を思うと、なんとも言えないものがある。
近年ユニフォームを脱いだ選手で言えば、ジェイミー・レドナップ、ダレン・アンダートンの2人も“Sick note”と呼ばれていた。共に1972年生まれで、一度はイングランド代表の主軸と期待された選手だ。実際どちらも代表経験を持ち(レドナップは17試合、アンダートンは30試合)、EURO96ではベスト4に入っている。それでも、慢性的な怪我がなければ、2人はもっと高みを目指せただろう。10年、20年がたったとき、人々はディーン・アシュトンを「プレミアリーグで1回だけ10ゴールを決めた、そこそこのストライカー」として思い出すだろう。プレミアリーグで10点を取ることは簡単ではない。しかし、アシュトンはそれにとどまるような選手ではなかったと覚えている人はどれくらいいるのだろうか?
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