1月29日に幕を開けたアルゼンチンの後期リーグは群雄割拠の戦国時代を迎えている。前期リーグ、創設114年目にして初優勝を飾ったバンフィエルドを筆頭に、近年は中堅クラブの躍進が顕著である。それを物語るように今年のコパ・リベルタドーレスには前年覇者のエストゥディアンテスのほか、ベレス、バンフィエルド、ラヌース、コロン、ニューウェルスと6クラブが参加するのだが、そこにボカとリーベル、サン・ロレンソ、インデペンディエンテ、ラシンというかつての“5強”の姿はない。ただ例年、後期リーグはリベルタドーレスに出場するクラブが例えボカであっても苦戦することが多く、今年はエストゥディアンテス、ベレスを除いたクラブの経験が浅いため、尚更リーグとの両立は困難を極めるはずだ。では5強の復興するシーズンとなるだろうか。
国内リーグに絞って戦えるボカだが、プレシーズンマッチの不振によりバシーレ監督が辞任し、ビアンチGMも監督要請を拒否して辞任。カーニャ、スケロットへの打診も不調に終わり、アルベス暫定監督が指揮を執るが、開幕戦はアルヘンティノスにロスタイムで追い付かれてドローに終わった。パレルモ、リケルメ、イバーラ、アボンダンシエリとベテラン勢が主軸を占め、世代交代が進まないチームは開幕直前にもパラグアイ代表のカセレスを放出するなど先行き不透明な状況にあり、若手の成長が鍵となる。
一方、開幕前のクラシコでボカに連勝し、復調を印象付けたリーベルのアストラーダ監督は、ケコ・ビジャルバ、フネス・モリの若い凸凹2トップに攻撃を託す。オルテガ、アルメイダといったベテランも健在だが開幕戦からバンフィエルドに敗戦し、降格すら気に掛けなければならないシーズンとなる。
シメオネ監督のサン・ロレンソは目立った補強こそないが、プレシーズンからゴールを重ねている若いボルダガライの調子が良い。グラシアンを補強したガジェゴ率いるインデも不気味だが、クラウディオ・ビバス監督のラシンが移籍市場で積極的に動き、エクアドルのLDUキトからコパ・リベルタドーレスでその名を轟かせたビエレル、開幕直前にも元アルゼンチン代表キャプテンのロベルト・アジャラを獲得。近年は不振でリーベル以上に降格の危機が迫っているが、今年はリーグを盛り上げてくれそうだ。
中堅クラブ揃いのリベルタドーレス出場組でも、ベロンのエストゥディアンテス、前期リーグ得点王のシルバを呼び戻したベレスは層が厚く、優勝争いに加わることも可能だろう。逆にそのシルバを失った前期優勝のバンフィエルドやコロン、ラヌースは選手層の薄さや日程、コンディションでやや苦しむかもしれない。センシーニ監督のニューウェルスはリベルタドーレス予備選からの出場で、その結果次第か。
プレーオフを含めて4クラブが降格する残留争いに目を向けると、アトレティコ・トゥクマン、チャカリータと昇格クラブが苦しい戦いを強いられている。ただ、近3シーズンの成績で判断される降格のシステム上、両クラブは今シーズンの成績だけが対象となるため巻き返しも不可能ではなく、前述のラシンやリーベル辺りにも危険性が残る。昨シーズン、プレーオフの末に残留したヒムナシアは最下位へ沈み、残留へ向けて厳しい状況が続く。
また、今年はワールドカップ・イヤー。代表監督がこれまで国内組を数多く招集しているマラドーナということもあり、チームとしてだけでなく個人としても熾烈な争いが期待できるだろう。いずれにせよ、どこが優勝しても、また降格してもおかしくない、最終節まで混戦が続く興味深いシーズンとなりそうだ。
◆Noticias(ノティシアス)とはスペイン、ポルトガル語でニュースの意。ここでは南米の情報をお届けします。

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