Denmark
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1
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0-0
1-1 |
1
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Chile
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イェンセン | 48' |
得点者
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49' | メナ |
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どちらも決勝トーナメント進出を決めている立場での試合とあって、お互いに前半はリスクを冒さず、消耗を避けながらの展開となった。
その中で目を引いたのはデンマークの戦術である。チリのポゼッションサッカーに対応するため、普段以上に守備を重視しカウンター狙いを徹底したのだ。最終ラインはかなり低い位置にポジションを取り、メデルやルビオの飛び出しを警戒。さらにサイドハーフが相手のサイドバックをマーク。ボールを奪ったらロングボールを前線に放り込む。これによりチリの攻めを大部分封じることに成功し、前半はペナルティエリアの中でシュートを打たれたのがロングボールからの1本のみという状態に持ち込んでいた。さらにデンマークにとって幸運なことに、後半始まってからまもなく、カウンターからイェンセンが裏に飛び出すことに成功し、技ありのループシュートを決めて先制点を獲得できたのである。デンマークのシュートは後半40分でわずかにこれ1本であったことを考えれば、僥倖としか言いようがなかった。
しかし、チャンスの後にはピンチあり、とはよく言ったもの。リードを奪ったことにより、ここまで鉄壁を誇っていたデンマークの守備に一瞬の隙が生まれた。先制点が生まれた直後のキックオフからのプレーで、マークが甘くなっていた。カロカからフリーのメデルに繋がれると、そこからすかさず裏にパスを通される。タッチライン際から回り込むように飛び出してきたメナに最終ラインを破られ、ゴールを決められてしまったのである。チリで最も危険な選手と言えるメデルをフリーにし、さらにラウドルップがメナへのマークを怠っていた。
その後同点に追いついたことで勢いに乗るチリの攻撃に、徐々に運動量が落ちて出足が鈍くなり始めたデンマークは一気に劣勢となってしまった。しかしここで強みとなったのが中央の高さであった。放り込まれた数多くのクロスを弾き返し、ドリブル突破で崩されかけた場面も何とか防いだ。後半の攻められ方を考えれば、「凌ぐことに成功し、勝ち点1を奪った」という表現が正しいだろう。
チリ側から見れば、勝ち点1は奪ったものの「弱点を晒した」試合だった。裏のスペースを消され、さらにパスを回すスペースも乏しい場合、サブも含めて前線の高さが不足しているため点を取る方法を失ってしまう。さらに運動量を要する戦術、グループリーグ3試合で選手をあまり代えなかったことから消耗も激しい。2連覇を目前に大きな壁にぶち当たったといえるかもしれない。