France
0
0-0
0-2
2
Mexico
得点者
64'
79'
J・エルナンデス
C・ブランコ(PK)


FIFA.com 選定 Qoly.jp 選定
J・エルナンデス(メキシコ) R・マルケス(メキシコ)

終始戦術的に上回ったメキシコが2点を奪って勝利し、フランスを完膚無きまでに叩きのめした。

フランスが序盤から攻撃しようと前線に人数をかけてくるなか、ファウルも辞さない激しいタックルを多用して守り、奪ったボールを素早く前線に展開。高い最終ラインの裏のスペース、ボランチと最終ラインの間のスペースを、縦のギャップを作った3トップが入り込んで使ったほか、マルダとゴヴの守備意識の低さを利用してサイドのスペースを使い、効率的に攻撃を組み立てた。フランスがこれを警戒してボランチを下げたり、プレッシングを強くしたりして対処してきたときも、自信を持って戦い方を変えず、数は少なくなったもののカウンターからチャンスを作り出した。そして64分、フランスの一瞬の隙を突いてメキシコが先制点を奪取する。パス回しからマルケスが素早く前に浮き球を送ると、高い最終ラインの裏にある広大なスペースにハビ・エルナンデスが飛び出し、ゴールを決めた。

そしておそらく、メキシコの戦術の真骨頂はここから。序盤からサイドのカバーに動かされていたトゥララン、攻撃にフル活動していたディアビの運動量が落ちたところに、トップ下にブランコを入れてぶつける。これでフランスのボランチを中央に固めさせ、サイドハーフの守備意識が低いフランスのサイドバックの前方に広大なスペースを作らせた。ドリブルが可能な選手が多いため、サイドバックとの間合いが空けば仕掛けが成功するし、ブランコも運動量が落ちたボランチに簡単に封じられるような選手ではない。

この戦術が成功し、メキシコのボールキープ率は増加。そして77分、空いた右サイドのスペースからバレーラが仕掛けて突破、アビダルのファウルを誘い、試合を決定付けるPKを奪取した。アギーレはおそらく終盤の1点で試合を決めるゲームプランだったのだろうが、この2-0という結果はプラン以上にうまく戦術がハマったということだ。ファウルを辞さずに戦ったのも、おそらく今回の大会のボールであるジャブラニが「直接フリーキックが入らない」という性格を持っていたから選択したことだろう。

逆にフランスから見れば、完全にメキシコの掌の上で踊っただけの試合であった。前半は攻撃しながらも、アネルカが動き回ってボールを受けるため、そこからどうやってゴールに繋げるかというのが全く見えず、押し込みながら流れの中でのシュートはたったの2本。投入されたジニャックはカウンター専門の選手でスペースがなく完全に試合から消え、ヴァルビュエナもサイドに固定されてしまったため広いプレーエリアで相手をかき回すという個性を失っていた。そのため後半はさらにメキシコの戦術に利用され、終盤になればなるほど沈黙した。監督のドメネクには「勝つためのプラン」が全くなかったといえるだろう。

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