England
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0
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0-0
0-0 |
0
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Algeria
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得点者
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FIFA.com 選定 | Qoly.jp 選定 | |
A・コール(イングランド) | ジアニ(アルジェリア) |
策士サーダヌ率いる曲者アルジェリアが「らしい」戦いでイングランドを封じ、ドローに持ち込んだ。
アルジェリアがこの試合で仕掛けた策は巧妙であった。フォーメーションは前節に比べてより正統な3バックの形を使用し、マトムールをワントップに配置した3-4-3。ボールの運び方は右サイドに偏重し、組み立ての際にはボランチの一角であるイェブダが開き、人数をかけてパスを繋ぐ。もし右サイドを塞がれても逆に囮として使い、逆サイドにできたスペースに入り込んでいるジアニとベルハジを使えばいい。もし守備が多少来ても、この二人はサポートがなくても突破が出来る選手だ。選手の個性を生かし、後ろの人数を減らさずに効率的な攻めをしようと考られた攻撃システムだろう。
また3バックということ自体も「誘い」の1つだろう。3バックはサイドにスペースが空くのがセオリー。相手がそれを見てA・コール、G・ジョンソンを上げてくれば、狙っているサイドの裏にスペースが出来ると考えたのだろう。もし相手がそうしてこなくても、もともと3バックは中央が堅いので、相手の攻撃を中に絞らせれば守れる公算が高いのだから。
これをサーダヌがどこまで考えていたは分からないが、結果的にはこうなっていた。おそらく「前半に失点せず得点も取る」という両方を追い求めた奇襲だったのだろう。なぜこれを「奇襲」と考えるかと言えば、サーダヌが後半にこれをすっぱりと諦め、失点しないためのサッカーを徹底したからである。研究されていないからこそ出来る、前半に的を絞ったギャンブルだったのだろう。
ただ、ここまで緻密に設定された戦術で攻めきれなかったのは、選手のイージーミスの多さが原因だ。確かにアルジェリアの選手はボール扱いは上手く、プレスをかわす技術は持っている。しかしクリアや繋ぎで軽率なプレーが多く、戦術で上回っていながらも相手にみすみすチャンスを渡すことも多かった。これさえなければ、サーダヌのプランはもっと機能していたに違いない。今日無失点で防げたのは、3バックの選手たちが120%の力で奮闘したからである。
逆にイングランドの方から見ると、戦術的に押さえ込まれた上、相手の軽率なプレーから得られたチャンスを生かせなかったという試合であった。攻撃はルーニーにかかる負担が大きすぎ、下がってボールを受け、組み立てもし、フィニッシュにも絡まなければいけない状態。その為ヘスキーとの連携に乏しくなってしまい、肝心なところで存在感を発揮できない。カペッロが往年のオーウェンのようなプレーを期待しているのなら、もっとルーニーの仕事は減らしてやるべきであろう。