ワールドカップで苦戦が続くイングランド代表。グループリーグ最終戦のスロベニア戦に勝利すれば自力で決勝トーナメントへ進出できるが、引き分けた場合は敗退する可能性を秘めている。
イングランドを指揮するのは“ドン・ファビオ”の愛称で親しまれるイタリア人指揮官のファビオ・カペッロ。ACミランでのスクデット3連覇をはじめ、就任した全てのクラブでリーグ優勝を飾った経験から「優勝請負人」と呼ばれる名将であるが、ビッグトーナメントにおいては「優勝請負人」と呼ぶべきかどうか悩ましいのである。下記の表をご覧頂きたい。
シーズン | クラブ | リーグ戦の成績 | ヨーロッパカップ戦の成績 |
---|---|---|---|
1986-1987 | ACミラン | セリエA 5位 | 不出場 |
1991-1992 | ACミラン | セリエA 優勝 | 不出場 |
1992-1993 | ACミラン | セリエA 優勝 | UEFAチャンピオンズリーグ 準優勝 |
1993-1994 | ACミラン | セリエA 優勝 | UEFAチャンピオンズリーグ 優勝 |
1994-1995 | ACミラン | セリエA 4位 | UEFAチャンピオンズリーグ 準優勝 |
1995-1996 | ACミラン | セリエA 優勝 | UEFAカップ ベスト8 |
1996-1997 | レアル・マドリード | リーガ・エスパニョーラ 優勝 | 不出場 |
1997-1998 | ACミラン | セリエA 9位 | 不出場 |
1999-2000 | ASローマ | セリエA 5位 | UEFAカップ ベスト16 |
2000-2001 | ASローマ | セリエA 優勝 | UEFAカップ ベスト16 |
2001-2002 | ASローマ | セリエA 2位 | UEFAチャンピオンズリーグ ベスト16 |
2002-2003 | ASローマ | セリエA 8位 | UEFAチャンピオンズリーグ ベスト16 |
2003-2004 | ASローマ | セリエA 2位 | UEFAカップ ベスト16 |
2004-2005 | ユヴェントス | セリエA 優勝(のちに剥奪) | UEFAチャンピオンズリーグ ベスト8 |
2005-2006 | ユヴェントス | セリエA 優勝(のちに剥奪) | UEFAチャンピオンズリーグ ベスト8 |
2006-2007 | レアル・マドリード | リーガ・エスパニョーラ優勝 | UEFAチャンピオンズリーグ ベスト16 |
既におわかりであろう。リーグ戦では燦然と輝く成績を残しているが、ヨーロッパのカップ戦では芳しい結果を残していないのである。ヨーロッパでの優勝は1993-1994シーズンのチャンピオンズリーグ決勝まで遡らねばならず、3年連続でファイナルに進出した1990年代の3シーズン以降は、ベスト16止まり。国内カップ戦(コッパ・イタリア、コパ・デル・レイ)にスポットを当てても優勝を果たしていない。
指揮官として唯一優勝した1993-1994シーズンは、ファイナルでバルセロナを4-0で粉砕したシーズン。ACミランの黄金期。3年連続ファイナル進出といえども、グループリーグ出場チーム数が8チーム、16チームの時代であった。
以上の様なデータを見るとカペッロがトーナメントに弱い監督である事が垣間見られる。“絶対に奪わねばならないゴールを奪えない指揮官”と形容する事ができるのではなかろうか。同じ様にデータからかんがえれば、「グループステージ敗退はない」という要素はイングランド代表にとって朗報かもしれないが、グループステージ突破を決めたとしても、その先は真っ暗と言わざるを得ない。イタリア代表監督就任が何度も噂されてきたカペッロであるが、FIGC(イタリアサッカー協会)は上記の様なデータを見てカペッロの適正を不安視しているのかもしれない。