26日、ブラックバーンはインドの家禽飼料(ブロイラーなどの餌)メーカー、ヴェンキーズからの6350万ポンド(約82億円)のオファーを受け入れ、11月に売却が完了する見通しであることを明らかにした。
ヴェンキーズはインドの複合企業体、ヴェンカテッシュワラ・ハッチェリーズ・グループに属する企業。ブラックバーンを保有するジャック・ウォーカー財団は、財政危機のため2年前からクラブの売却先を探していた。
今回の買収において、ブラックバーンは財政的な支援を、ヴェンキーズは国際的な知名度の上昇をそれぞれ狙っている。すでにアラダイス監督は新オーナーによる投資を期待するコメントを寄せているが、ヴェンキーズ側は「新しい選手に出せるのは500万ポンドが限界。レンタルせよ。」とやや冷たい返事。
この買収の裏には、世界的スポーツ・エージェンシーであるケンタロー・グループがかかわっている。スイスに本社を置く新興企業である同社のコアビジネスは、試合の放送権を獲得し、テレビ局に分配することだ。南アフリカW杯の予選では、南米予選の90%を含む250試合の放映権を獲得した。9月にはロシア、ウクライナ、アルバニアのサッカー協会と契約し、各国の代表戦の放映権を獲得している。
ケンタロー・グループは今後、インド市場においてブラックバーンを積極的に宣伝していくことだろう。インドの都市部では有料放送がすでに整備されており、中流階級だけでも3億人の人口がいることから、プレミアリーグにとって、インドは中国よりも魅力的な市場とみなされている。すでにマンU、チェルシー、マンCなどのクラブがインドにアカデミーを設立したり、提携を結ぶなどしている。
最後に、この買収が成立すれば、プレミアリーグにまた一つ“外資系”のクラブが増えることになる。各オーナーの名前には、読者の方も聞きおぼえがあるだろう。アストン・ヴィラ(米ランディ・ラーナー)、バーミンガム(香港カーソン・ユン)、チェルシー(露ロマン・アブラモヴィッチ)、フラム(埃モハメド・アル=ファイド)、リヴァプール(米ジョン・ヘンリー&トム・ワーナー)、マンC(UAEマンスール)、マンU(米グレイザー家)、サンダーランド(米エリス・ショート)、いずれも海外資本によって、豊富な資金力を得ているクラブだ。どうやらブラックバーンが期待していた財政的援助はなさそうだが、いずれプレミア20チームがすべて外資系化する日が来るかもしれない。