2010年12月1日(水) - ゲロラ・ブン・カルノ・スタジアム(ジャカルタ)
Thailand
2
0-0
2-2
2
Laos
サラユート
サラユート
67'
90+1
得点者
54'
82'
コネカム
カンラヤ


東南アジアの6カ国と、予選を勝ち抜いた2カ国が参加して行われるスズキカップが12月1日に開幕。グループAはインドネシアのジャカルタで、グループBはベトナムのハノイで行われる。決勝トーナメントには各グループの上位2チームが勝ち上がり、準決勝以降は対戦国同士でのホーム&アウェイという形式となる。

開幕戦は優勝候補のタイと、予選を勝ち抜いたラオスとの対戦。力の差があるカードではあったが、少ないチャンスをラオスが生かして終始リードを奪う展開。タイは最終局面で同点に追いついたが不完全燃焼に終わった。

積極的に試合を進めようとしたのはタイの方である。監督ブライアン・ロブソンが最初に選択したフォーメーションは超攻撃的。ボランチ2枚がターサック・チャイマンとスティー・スクソムキットの組み合わせ。2人ともタイ屈指の攻撃的MFで、日本で言えば遠藤と中村俊輔でボランチを組むようなもの。ボールは動かせるが、守備力をかなり欠いてしまう。

キックオフ直後はラオスの守備が全く人に付かずプレスもかけてこなかったため、流動的で自由な攻めとターサックのパスが冴え渡り何度も裏を破ったが、相手の慣れと共にペースを失った。要するに、中盤が相手のカウンターに対応できないがためにいちいち下がり、ターサックが前線から離れてしまうのである。彼がいないと高い位置でボールが回らず、いいスルーパスも出てこない。悪循環だった。 そこで、ロブソンは35分あたりにポジションチェンジを指示。左サイドにいたランサンをボランチに下げ、ターサックをトップ下に上げ、4-3-1-2のような形に変更。流動性はそのままに、ターサックが前線に近づいたことで攻撃が改善された。

54分にセットプレーから失点しビハインドとなるが、67分にスティーのパスを受けたサラユートが鮮やかなコントロールショットを決めて追いつく。その後運動量を落とした相手に一方的に攻めこむことに成功。ハーフコートマッチと言ってもいいほどに押しこみ続けた。

ところが82分、ほとんどチャンスのなかったラオスがカウンターを成功させてしまう。カムフェンがロングビールを収めて、パスを繋いで左サイドに展開。そこから出てきたスルーパスに、交代で入ったばかりでフレッシュだったカンラヤが飛び出して来て、正確なミドルシュートを決められてしまったのだ。

これで絶体絶命の状況となったものの、後半ロスタイムに再びサラユートがチームを救った。交代出場のティーラシル・ダンダがドリブルで仕掛けて左サイドに繋ぎ、サポートしたスティーがクロス。これをサラユートが打点の高いヘディングでゴールに決め、土壇場で命を繋いだ。

もちろん、ラオスにとってもかなり残念な結果であった。内容は決して良くはなかった。立ち上がりの守備の崩壊具合は酷いもので、誰もボールに詰めず、飛び出す選手にも誰も付かず棒立ちもいいところだった。我慢を続けたことで運良く先行を続けたが、結局最後に失点をしてしまった。

しかし、力の差を考えればタイに引き分けたのは決して悪い結果ではないし、試合途中で守備を改善できたところにチームの雰囲気の良さも感じられる。また、ほぼ100%ボールを回された中でロスタイムまで耐えられたこともいい方向に捉えられる事実だ。難しいミッションにはなるが、決勝トーナメント進出の可能性はあるだろう。


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