UAE
|
0
|
0-0
0-1 |
0
|
Saudi Arabia
|
---|
得点者
|
57' |
アハメド・アバス |
---|
ガルフカップ準決勝のもうひとつの試合はUAEとサウジアラビアが戦った。先んじて行われたクウェートとイラクがエキサイティングな試合となったのに対し、こちらは比較的茫洋とした内容となった。お互いに如何に相手の弱みを突くかという狙いがなく、自分がやりたいことだけをやっていた試合だった。
サウジアラビアが狙っていたサッカーは2列目のテクニックを生かしたポゼッション。特にシャルフーブが司令塔役となり、それにサイドバックが積極的に上がって攻撃の広がりを作るシステム。だが引いて守ってきた相手にスペースを消されてしまい、前線のドリブルは封じられた。また高さもなく、サイドからのクロスボールも効果的ではなかった。
一方UAEもUAEで、引いて守れてはいるものの、カウンター攻撃が行き当たりばったりであった。ただスピードある選手が狙いもなく走って仕掛けるばかりでは、サウジアラビアの身体能力が高いセンターバックを出し抜くことは出来ない。後半になってようやく相手のサイドバックが上がってくることを読み、その裏にできるスペースを狙うような形になって来た。45分をかけてついに相手の弱点がどこかということを考えたようだった。
しかし、そんな後半が始まって10分あまりのこと。UAEはボランチの位置でボールを失う凡ミスから失点をしてしまう。M・アル・サイードにポッカリと空いたバイタルエリアに侵入され、スルーパスを通されてA・アバスにゴールに蹴りこまれてしまったのだ。
UAEにとって、この失点は致命的だった。攻撃に人数をかけねばならなくなり、これまで4+5で守っていたところを4+2、多くても4+3で守ることになった。自陣にスペースを作ることで相手の強みであるドリブル突破の能力を生かさせてしまった。さらに攻撃でも、交代枠はいくら切っても同じような選手しかおらず、オプションが皆無。53分にDFのW・アバスが怪我で交代を余儀なくされたのは不運だったが、「自分の形に持ち込めなかったとき」の対応に大きな問題を抱えていたことに変わりはない。
1点を守りきって勝利したサウジアラビアも、決していい内容ではなかった。我慢に我慢を重ねて同じようなサッカーを続けたが、ミスに助けられなければ得点が入る可能性はかなり低かった。また、この試合で見せたサイドバックが攻撃的に出るサッカーは、決勝で当たるクウェートのカウンターにはおそらく非常に弱い。実際、この試合の後半序盤にUAEがサイドに早めにボールを送ってきた時に脆さを感じさせた。決勝ではその対応力、つまり攻守両面において「自分がやりたいことではなく、相手が嫌がることをやる」力が試されるだろう。