2010年12月2日(木) - ミ・ディン・スタジアム(ハノイ/ヴェトナム)
Singapore
1
0-0
1-1
1
Phillipines
ジュリッチ 67'
得点者
90+4' グレートウィッチ


スズキカップはグループBが開幕を迎えた。舞台はヴェトナムの首都ハノイ。初戦はシンガポールとフィリピンが1-1の引き分けで勝点を分け合った。

終盤まで試合を優位に進めたのは、力で勝るシンガポール。守備を重視する相手に対し、序盤はボランチから密集地帯を飛ばした浮き球で、裏のスペースを徹底して突いた。20分くらいからは相手の最終ラインが引いたため中央には通せなくなったが、逆に下がるセンターバックとサイドバックの間にラインギャップが出来ることを読んで、そのスペースを長いボールで使った。

よりボールを回すテクニックが高く、そして空中戦に優れるベテランFWジュリッチ、動き出しのセンスに優れるアラム・シャーを擁するシンガポールは、その個人の強みを活かして戦術面でも優位に立っていた。

多くのチャンスを作りながらもシュートをことごとく外し決定機を逸していたが、65分についに先制点を奪取する。相手の隙を突いて中央突破を敢行し、ファハルディンがドリブルで持ち上がりスルーパス。それにアラム・シャーが右から飛び出し、DFと絡みつつ残したボールを折り返す。ブロックされて高く浮いたクロスを、逆サイドでジュリッチがヘディング。ゴールに決めた。

一般的に見れば試合はもうこれで終わったようなものだった。というのは、フィリピンは守備が上手く行かず、終盤はデル・ロザリオを中盤に上げ、スピードがあるベルメージョにサイドの裏のカバーを任せるなど、どちらかと言えば「失点を1つだけに抑えてダメージを最小限に留める」采配をしていたからだ。

ところが後半ロスタイム、エザリッジからのパントキックを前線で収めて左サイドに展開、J・ヤングハズバンドが低いクロスを入れると、グレートウィッチがダイレクトでシュート。これがゴールに決まり、まさに土壇場で試合は振り出しに戻された。

フィリピンははっきり言えば負けゲームであった。ヤングハズバンド兄弟とボヤナのカウンターからの仕掛けは比較的効いていたが、守備は非常に弱かった。ショートパスを回されている分には崩れないのだが、中盤のラインを超える浮き球を出されると、スペースに入ってくる選手に付けず崩されてしまう。しっかりプレスを掛けることも、ラインをしっかり引いてマークに付くことも、ボールを回して攻めることも出来なかった。後半はややプレスの意識が増したが、ムラがありすぎて完璧ではなかった。 そんな展開の中で引き分けに持ち込めたことは非常に幸運だったといえよう。


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