2010年12月5日(日) - 5月22日スタジアム(アデン/イエメン)
Kuwait
1
0-0
0-0
1-0
0
Saudi Arabia
ワリード・アリ 94'
得点者



11月22日に開幕したガルフカップはついに決勝戦を迎えた。わずか15日という期間に5試合を戦い疲労が見える中、両チーム共に気持ちが入った激しいプレーを見せ合う好ゲームとなった。そして激戦の末、延長戦でクウェートが先制点を奪取し、12年ぶりの優勝を飾った。

ただ、どちらかと言えば試合を優位に進めていたのはサウジアラビアだった。選択した戦術は「長いボールか後方でのパス回しで相手を押し下げ、切り替え早く前線からプレスをかけ、カウンターの起点を潰す」。つまりは準決勝でイラクがクウェート相手に行った戦術のコピーである。イラクほど徹底されてはいなかったが、その分個々の能力が高く、圧力が強かった。

しかし、クウェートもそれは一度経験し、破ってきた戦術。引いてブロックを作り相手の激しい攻撃に耐えつつ、前線でアル・ムトワが上手く動いてボールを引き出すことにより、30分あたりから徐々に反撃の形を整えていった。さらに70分を過ぎると両者の運動量が落ちたことでオープンな展開となり、スペースを利用してカウンターを狙った。

迎えた延長4分。アル・ムトワからのスルーパスを交代出場のハマド・アル・アネジがバイタルエリアで収め、ドリブルで仕掛けて右に流れつつ中央へと折り返し。アル・ムトワに合わずに逆サイドに流れたところにワリード・アリがサポート、そのままドリブルで仕掛け、角度のないところから強烈なシュートを決めた。

この得点でクウェートの運動量が復活。3日前に120分の試合をしたばかりのチームには疲労がありありと見えていたが、優勝に向けての気持ちが足を動かしていた。特にアル・ムトワは前線で必死の走りを見せ、押し込まれ続けることを防ぎ、ハマド・アル・アネジにチャンスを与えた。

そして終盤にはアブ・ラディアがペナルティエリア内でマートゥクと絡んで倒れ、あわやPKかという場面もあったが、主審はこれをシミュレーションと判定。しかも、2枚目の警告でアブ・ラディアは退場処分となる。クウェートは最大のピンチを逃れ、優勝カップを手にすることに成功した。

決して個人の能力では大会トップとは言えなかった。特に最終ラインの守備は決して強くはなかったし、ストライカー陣は頼りない。しかし、スピードあるウイングと展開力あるボランチとセンターバック、アイデアあるアル・ムトワという個性あるタレントを活かす、軸のぶれないサッカーであった。2009年からチームを率い、既に西アジアサッカー選手権でも優勝に導いた弱冠39歳の若手監督、ゴラン・タフェグジッチの手腕は高く評価されるべきだ。

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