大会参加国の中で、現在一番充実しているチームといえば間違いなくこのクウェートだろう。西アジア選手権で優勝したことを皮切りに好調を維持。国際Aマッチでは10月8日に行われた親善試合でバーレーンに敗れて以降、10試合を6勝4引き分けで終えており負けなし。12月にはサウジアラビアを延長の末に下し、ガルフカップの優勝も果たした。

当サイトのガルフカップ・レポートでも書いたが、彼らの強みはクウェートきってのスター選手アル＝モタワへの依存度を軽減し、ブレることのない堅守速攻戦術が定着していることにある。 もともとクウェートはテクニックのある選手が多く、最終ラインやボランチにも良いボールを供給できるタレントが存在。メサエド・アル＝エンジもストッパーであるが、強烈な左足を持ち、時折強引なドリブルで前線に顔を出す。ボランチのアル＝アメルとアル＝アティーキもボール扱いが上手く展開力に長ける。それに加えて、サイドに強烈なスピードを持つファハド・アル＝エネジが台頭したことで、シンプルにサイドに展開して仕掛け、アル＝モタワがアクセントを付けるというチームプレーが可能となった。

しかし不安もないわけではない。ひとつは堅守速攻戦術でありながら、最終ラインの守備面に雑なところがあり、上記の展開力があるボランチ陣も決してディフェンシブなタイプではないことだ。もうひとつは絶対的なストライカーが登場していないこと。ユセフ・アル＝スレイマンやハマド・アル＝エネジが主にトップを務めることになるが、両方共に足元は上手く運動量はある反面、点取り屋としては決定力やヘディングが頼りない。そもそも後者に至ってはMF登録が多い選手で、本来ストライカーではない。要するにフィニッシュは依然としてアル＝モタワに頼らざるを得ない部分は大きいのだ。

とはいえチーム状態は間違いなく良く、このところの好調で勢いにも乗っており、勝負強さもある。ダークホースというよりも、現時点では優勝候補の一つに数えてもいいだろう。

（※選手の名称はアジアカップの登録名に合わせており、前述のガルフカップ・レポートとは表記が変わっておりますが、ご了承ください）