前回のアジアカップ王者であり、コンフェデレーションズカップにも出場し大きな経験を得たイラク。格としてはサウジアラビアなど一線級の国と比べれば一歩劣るものの、個性的なタレントを揃え、情熱的なプレーが出来る魅力的なチームだ。西アジア選手権、ガルフカップともにベスト4で姿を消したが、敗北しても常に接戦を演じ、確実に結果は出している。

前回大会の得点王兼最優秀選手であるユニス・マフムードがキャプテンを務め、今大会も最前線の柱となる。昨年オランダリーグ、トゥウェンテでの挑戦に失敗したナシャト・アクラムも、代表チームでは依然として中心選手に君臨し充実のパフォーマンスを見せている。 2列目も魅力的で、サメル・サイード、ハワル・モハメド、イマド・モハメドに加えて、前回大会のレギュラーであったマフディ・カリムも健在でウイングの層が厚い。またトップ下に入るアラー・アブドゥル＝ザフラはガルフカップで3得点をあげ、スコアラーとしての才能を開花させつつある。

反面、守備力という点においてはトップレベルとは言えない。シャケルとアリ・フセインがレギュラーとなるであろうセンターバックは機動力で劣り、ナシャト・アクラムのパートナーを務めるクサイ・ムニールは力強さに欠ける。また、チーム全体としても、時折非常に腰が引けて受身になってしまう悪癖があり、ガルフカップを欠場したDFバシム・アバスの復帰で少しの改善は見込めるが、不安な部分のほうが大きい。

しかし前述のとおり、好調時は非常に魅力のあるチーム。ぜひ注目して頂きたい国の一つである。