この2月に30歳を迎えた朴智星だが、ユナイテッドでの働きぶりは衰えていない。

その朴について当地のイギリス人記者ポール・ウィルソン氏が触れたコラムを抜粋してお届けしたい。


朴智星(以下、パク)にまつわるミステリーは今シーズンでほぼ解決された。

当初、ファーストタッチが当てにならなず、ツータッチ目はスライディングタックルとさえ言われたパクをアレックス・ファーガソン監督(以下、ファーガソン)が我慢することは難しかったが、パクは次第にユナイテッドにおいてヨーロッパの舞台で頼れる男になった。

ファーガソンはCLでの戦いにおいてポゼッションとボールを賢く使うことに重点を置き、その舞台で真価を発揮する30歳のパクにより信頼を置く。07-08シーズンのCLではそれまでの勝ち上がりに貢献していたにも関わらず、ファイナルのメンバーから外されたパクだが、いまとなってはファーストチョイスになった。

ファーガソン曰く。

「彼(パク)はビッグゲームで必要とされるディシプリンとインテリジェンス、そしてフットボールについての知識を持っている。CLではディシプリンがとても重要でヨーロッパの舞台では普段とは若干異なったものが必要になる」

(大舞台におけるディシプリンが)ひどく高くついた例として昨シーズンのCL準々決勝バイエルン戦でのラファエウの退場がある。他にも色々なことがあったが、あの出来事が敗因のひとつといえる。まだ19歳だったラファエウはつい我を忘れてしまった。フットボールでは起こりえることだが、常に冷静さを保てるパクのような選手もいる。

「ビッグゲームに臨むメンバーを組むとき、ディシプリンの核となるような選手が必要になるが、彼(パク)はそういう選手のうちのひとりだ」
「また、素晴らしいプロフェッショナルでもあり、動くことを止めずにプレーする。それこそ彼のもつ財産だ。周りの選手がボールを持っているうちに、他のポジションへ移ることで再びプレーに関与できる。それはチームにとって価値のあることで、彼は本当に重要な存在だ」

さらに、さきのCL対チェルシー戦で見せたようにパクは得点することもでき、公平に見てユナイテッドで過ごした6年間で彼は計り知れないほどの向上を見せている。

21歳で迎えた2002年W杯でポルトガル相手に決めた素晴らしいゴールにより自らの存在を知らしめたパクは、感銘を受けたヒディングによってPSVへと引き抜かれた。その後、チェルシーへの移籍の可能性もあったが、ユナイテッドが2005年に興味を示したことでその話は立ち消えとなった。

また、ヒディングはアブラモビッチの下でチェルシーの監督を務めた際にも陰でパク獲得に動き、自身のサッカー人生に大きな影響を与えた尊敬する指揮官からの誘いにパクもはじめは心を揺らした。

「マンチェスターに残ると決心したとき、ヒディングを裏切ってしまったと感じた」
「チェルシーに来て欲しいという彼(ヒディング)の思いは知っていましたが、それは難しかったです」

そうパクは語る。

これがパクの野心と気質の強さを例示する話だとすれば、その才能を認め早くに獲得したユナイテッドも大したものだといえる。パクの熱烈なファンでさえ彼がオールド・トラフォードで即座に成功したとは言わないが、パクは月日をかけて移籍金以上に価値のある選手だということを自ら証明してみせた。


「彼なしでいなくたいね。うちのチームで長らく、そして最も効果的な選手のひとりだ」

とファーガソンに言わしめたように。



今夜、内田のいるシャルケとCL準決勝を戦うユナイテッドだが、個人的には内田とパク両者の活躍を期待したい。


【チェルシー戦でのゴール】


(筆:Qoly編集部 I)

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