3月31日に行われた横浜F・マリノス戦でも得点を挙げることができず、開幕から4試合連続でゴールを奪う事ができなかった鹿島アントラーズ。とはいえ、開幕戦のベガルタ仙台戦と比べると前線の動きは良くなってきており、あと一歩のところでゴールを奪えていないのが現状である。
今回の当コラムでは攻撃陣の分析をするとともに、横浜F・マリノス戦の前に京都サンガから獲得したMFドゥトラについて述べていきたいと思う。
・迫力不足の2列目アタッカー陣
開幕戦のベガルタ仙台戦では4-3-1-2の新機軸を導入したジョルジーニョ新監督であったが、このダイヤモンド型の中盤が上手く機能しなかったため、最近の試合では昨年までの基本形であるボックス型の4-4-2を採用することが多くなってきている。横浜F・マリノス戦では右サイドに柴崎岳、左サイドに遠藤康が起用されたが、深刻な得点力不足に悩んでいる要因はこの2列目に迫力が足りないからだ。
この試合で右サイドを任された柴崎はボランチが本職だが、抜群のサッカーセンスを兼ね備える彼は2列目でのプレーも難なくこなしている。とはいえ、ドリブルでの仕掛け、崩しといったプレーは得意とするものではなく、どこか窮屈そうにプレーしている印象だ。個人的には、抜群の視野の広さとパスセンスを誇る柴崎をボランチの位置で起用するのがベストであると思う。
また、左サイドを担った遠藤はゴール前での「迷い」が垣間見えてしまった。この試合でも随所で持ち前のサッカーセンスを披露していたが、ゴール前でシュートを撃つべきか、パスをするべきかの選択に迷いが生じてしまっていた。これは昨年も見られた傾向であり、ヴィッセル神戸に移籍した野沢拓也の後継者として遠藤に特大の期待をしている筆者にとって、何とももどかしいものである。
そして、その遠藤に代わって後半途中から出場した本山雅志には、チームを天皇杯優勝に導いた2010年シーズンの輝きを取り戻せていない印象を受けた。彼の足から放たれる一撃必殺のキラーパスがどれだけ凄いものであるかということは、多くのサッカーファンが知っているところであるが、(筆者も本山のプレーに心から惚れているひとりである)今シーズンは決定的な仕事ができていない。本山は試合の流れをガラッと変えることのできる稀有な選手であるだけに、復調を心待ちにしたいところだ。
・ドゥトラは悪い流れを変えられるか
開幕から3試合連続ノーゴールで迎えた横浜F・マリノス戦の前にクラブは大きな手を打った。それは京都サンガに所属していたドゥトラの獲得だ。ドゥトラは京都サンガで2シーズン、主力としてプレー。昨年の天皇杯での活躍が記憶に新しいアタッカーで、今シーズンも活躍が期待されたが、大木武監督と起用法を巡って対立し、移籍が取り沙汰されていた。ドゥトラは3週間以上も全体練習に参加していなかったというが、合流後のチーム練習では軽快な動きを見せているらしく、非常に期待できるのではないかと思う。また、ドゥトラは鹿島アントラーズへの入団時に次のようなコメントを残している。
「アントラーズに移籍できたことを大変光栄に、また嬉しく感じています。可能な限り早くピッチに立って、少しでもチームの力になりたいと考えています。このクラブはビッグクラブなので、全てのタイトルを取ることを目標に戦っていきたいと思っています。ボールを持っている時のスピードだけでなく、遠目からでもシュートを狙えるので、サポーターの皆さんにはそういった積極的なプレーでアピールしたいと思います」
ドゥトラのプレースタイルは卓越した個人技を活かしたものであり、連携面では不安が残る。とはいえ、力強いドリブル突破は大きな脅威となるだろう。深刻な得点力不足に喘ぐ鹿島アントラーズの救世主としての活躍を大いに期待したいところだ。
2012.4.1 ロッシ
※選手表記、チーム表記はQoly.jpのデータベースに準拠しています。
筆者名 | ロッシ |
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プロフィール | 鹿島アントラーズ、水戸ホーリーホック、ビジャレアルを応援している大学生。今シーズンはプレミアリーグを中心に観ていく予定です。当コラムに関する、感想、意見等がありましたら、下記のツイッターアカウントにどしどしお寄せ下さい。 |
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