イタリア北部トレヴィーゾ県モンテベッルーナに15人ほどの小さな工場がある。世界各国の選手たちが着用するNikeのスパイクはこの工場で製作され、選手のもとに送り届けられている。海外のサイトで取り上げられていた同工場内の様子や作業風景などをご紹介する。
工場が設立された1996年当時はエンジニア2人と選手対応のためのマネージャー1人の3人体制だったというが、16年が経った今では従業員の数は5倍に増えた。ここでは、イニエスタやクリスティアーノ・ロナウドといったフットボーラーだけでなく、ロシア人テニス選手マリア・シャラポワのシューズも手掛けているという。
工場を入るとまず、ロナウジーニョのスパイクに迎えられ、その先にはインテルの長友佑都とフィオレンティーナのヴァロン・ベーラミのポスターも。
こちらは、ディレクターを務めるケンドールさん。とても気さくなケンドールさん曰く、Nikeのメインテーマはイノベーションと進化の追及だとか。
続いて、設立当初からのメンバーのひとり、マッテオさん。現在チーフエンジニアであるマッテオさんはこの夏のEUROに向けてNikeが発表した4つの新スパイクのもととなるパーツを説明。
スピードを追及した「マーキュリアルヴェイパー8」は最小限のパーツで構成されている。製作の最初のステップは工業用ミシンで縫われた各パーツを組み合わせることから始まる。
全ての作業工程は各パーツが載ったスペシャルブックに基づいて行われ、品質管理のため「ISO」と呼ばれるの国際規格の取得が要求されるそう。(従業員ではなく工場として)
「マーキュリアルヴェイパー8」のソール。柔軟性だけでなく強度にも優れる
アッパーとヒモを組み合わせたあと、選手の足型に合わせる
C・ロナウドの足型
特殊な機械でインソールを縫って、固定
そして、ソールを装着
その前にはカラーリングも
それから、クリーニングと外見的欠損をなくすための特殊なプレスをかける
それが終わると足型を外して・・・
問題がないかチェック
ここからは、いよいよ最終工程! スパイクに印字
選手からは自分や家族の名前、国旗、さらにはTwitterのアカウントを入れてほしいとの要望も
こちらはPSVのオランダ代表DFヴィルフレット・バウマのスパイク
なお、Nikeのスパイクを着用する全選手たちのデータは全てプロフィール化されている
アンドレイ・アルシャヴィンのプロフィールには名前とロシア国旗、10番を印字することと、インソールを柔らかめにとの項目が。※(Ferguson)はブラックプールのMFバリー・ファーガソンと同様にということらしいが、ファーガソンは最近になって(Nike傘下の)Umbroからadidasに変更している
選手から修正点を指摘されると、訂正を施したものをまず1セットだけ送ってから、問題がなければもう1セット送るんだそう
こちらはゼニトのロシア代表ロマン・シロコフのもの
箱詰めされ、ロシア代表の元に届けられるのを待つスパイクたち
工場内にはロナウジーニョやロナウド、マーティンスの写真も。愛される存在だったよう
(筆:Qoly編集部 I)