6回目を迎えた今回の鹿島リポートでは、最近のアントラーズに訪れた朗報と悲報をお届けしたい。

・新助っ人に期待!

6月28日に獲得が発表されたのは、ブラジル人ミッドフィルダーのレナト(本名はレナト・アドリアーノ・ジャコ・モラエス)。今シーズンは名将マルチェロ・リッピを招聘するなど積極的な補強を繰り広げている中国の広州恒大から、ブラジル1部のポンチ・プレッタへとレンタルで移籍していた27歳のレフティーだ。

アントラーズと言えばセットプレーとカウンターがお家芸だが、野沢拓也がヴィッセル神戸に移籍してからというもの、セットプレーからの得点が大幅に減った。レナトはフリーキックに定評があるということで、お家芸の復活に期待がかかる。

また、レナトはプレーメーカータイプという触れ込みである。現在のアントラーズの2列目のレギュラーはドリブルを得意とする遠藤康とドゥトラであり、この2人とタイプの違うレナトの獲得で、攻撃に幅が出るだろう。チームにアクセントをつけられる選手として活躍を願いたいところだ。

ちなみに、アントラーズが同ポジションに2人の助っ人を獲得した例というのは、今までになかった事である。これまでの歴史を振り返ってみると、フォワードなら「マジーニョと柳沢敦」、「マルキーニョスと興梠慎三」、センターバックなら「ファビアーノと秋田豊」といった具合に、「助っ人+日本人選手」という組み合わせが掟だったのだ。

これは有望な日本人選手をしっかりと育成するための戦略であり、チームの軸となる日本人選手の成長、覚醒を促すために助っ人の力を借りているという側面が強い。助っ人ありきのサッカーではなく、あくまでも日本人をメインとしたサッカーを展開してきたからこそ、安定して勝利を積み重ねてこれたと言える。

しかし、ここ数年のアントラーズは過渡期を迎えており、今シーズンは中位を彷徨っている。(17節が終わって13位)やはり前述した野沢の移籍のダメージは大きく、若手有望株である遠藤康が奮闘しているとはいえ、なかなか穴が埋まっていないのが現状だ。

フロントは掟破りを犯した訳だが、裏を返せば、それだけ切羽詰まっているということでもある。レナトはJリーグの登録の関係上7月25日に行われるナビスコカップ準々決勝対セレッソ大阪戦まで出場できない。レナトの加入に刺激を受けた現有戦力のアピールにも注目したいところである。

・アントラーズを去りゆく2人

また、アレックスが徳島ヴォルティスに、佐々木竜太が栃木SCにレンタルで移籍することが併せて発表された。

アレックスは日本でのプレー経験が長く、左サイドならポジションを選ばずプレーが可能だが、今シーズンはコンディション調整に苦しみ、6節以降はベンチ外が定位置となってしまった。来シーズンはアントラーズでプレーできるか微妙だが、徳島ヴォルティスの上位進出に貢献し、首脳陣にアピールしたいところだ。

一方の佐々木は24歳のFWで、地元茨城県の出身である。遠藤とのコンビは「さやえんどう」と呼ばれ、一部(?)ファンから非常に人気だが、湘南ベルマーレにレンタル移籍した昨季と同様、今季もレンタル移籍となった。栃木SCには、アントラーズでプレー経験のある選手(當間建文、鈴木修人)も在籍しており、新天地で潜在能力を開花させたい。

・明暗がくっきりと分かれた五輪メンバー発表

ロンドン五輪に臨む18人の中に、大迫勇也の名前は無かった。「大迫落選」のニュースの後、筆者のTwitterのタイムライン上は、多くの鹿島サポによる悲しみのツイートでいっぱいに。かくいう筆者自身、ここまでチームを引っ張ってきた大迫が落選するとは考えていなかっただけに、驚きを隠せなかった。

大迫の落選を受けたジョルジーニョ監督は

「関塚監督とは選手とコーチとして鹿島で4年間をともにした親友。決断は尊重しないといけないが、親友だからこそ言えるのは、関塚監督は間違った選択をしてしまったということ」

と、あえて厳しい言葉で関塚監督の決断を語った。

大迫の落選については多くのサッカーファンが議論を交わしたことと思うが、筆者としては、予選突破に貢献した大迫をメンバーから外すという判断に首を傾げざるを得ないのが正直な感想だ。

恐らく本人が一番ショックを受けていると思うが、大きな挫折の後には必ずチャンスが回ってくるのが世の摂理である。アントラーズでの地位を不動のモノとし、この挫折をバネに成長できるか。今後の大迫のプレーに改めて注目していきたい。

一方、関塚ジャパンのキャプテンであり、クラブでも1年目から定位置を確保している山村和也は順当に選出された。ボランチ、センターバックをハイレベルにこなすことができる山村だが、最終予選の終盤には山口螢、扇原貴宏のセレッソ大阪コンビにボランチの定位置を奪われた上、クラブで起用されているセンターバックでは、オーバーエージ枠で選出された吉田麻也、予選を通してチームを支えた鈴木大輔らとの熾烈な争いに挑まなくてはならない。筆者としては、厳しい競争を勝ち抜き、もう一度キャプテンマークを左腕に巻いて闘う姿を観たいところだ。

2012/7/9 ロッシ

※選手表記、チーム表記はQoly.jpのデータベースに準拠しています。


筆者名 ロッシ
プロフィール 『鹿島アントラーズと水戸ホーリーホックを応援している大学生。ダビド・シルバ、ファン・ペルシー、香川真司など、足元が巧みな選手に目が無いです。野球は大のG党』
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