この夏、7シーズンを過ごしたセビージャに別れを告げ、中国は北京国安へと移籍したフレデリック・カヌーテ。
フランスU-21代表経験もあるフランス生まれのカヌーテだが、父親の祖国であるマリに国籍を変更したのち、2010年までマリ代表としてもプレーした。 また、敬虔なイスラム教徒であるとともに、Unicefと共同でマリでの支援活動にも尽力している。
そんなカヌーテが現在の心境や古巣セビージャへの想いなどを『El Pais』のインタビューで語った。
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ー中国はどうですか?
「セビージャで7年を過ごした後、新しい経験を楽しんでるよ。僕の家族にとって全てが新しいことだから、全力で適応しようとしてる」
ー中国語はしゃべれる?
「単語をいくつかね。中国では英語やフランス語を話す人がほとんどいないから自力でやらなきゃらない。 フットボールに関してもこれまでとは違うし、プレシーズンなくチームに加わったからフィジカル面できつかった。とはいえ、いくつかゴールできたよ」
「今シーズンのリーグはそろそろ終わるので、来年から始まる新シーズンに向けて気持ちを強くしているよ」
ー今はセビージャに戻っています。これが最後のお別れですか?
「どうかな、中国のあとどこで生きていくかはまだ分からない。たぶん、ロンドンかパリかな。でも、セビージャにはいつでも戻ってくるよ。この街の人々は僕に愛情を示してくれたし、この街のことは一生忘れない。この街は僕にとって大きな意味があるんだ。自分のキャリアのなかでも一番いい時間をここで過ごしたんだからね。この街が好きだし、戻ってこれるのは嬉しいよ」
ーあなたはセビージャの歴史に名を刻みました。クラブ史上最高の選手だったと?
「それについては答えられないな。言えることは、同僚やクラブにすぐに受け入れてもらえたから、初めからすんなりフィットできたということ」
「初めから全てがうまくいって、僕らはチームとして素晴らしい道のりを築けた。僕にとってもタイトルをともに勝ち取った仲間たちに迎えられるのは嬉しいことだよ」
ーあなたは慎み深い選手です。タトゥーを入れることもなく、宗教を深く信じています。あなたにとって宗教とは?
「僕にとっては自分そのものだよ。ドアのなかだろうと、外だろうと、いかなる時においても宗教とともにありたい」
ー代表チームの一員としてプレーしたマリへの連帯感はどこからくるものですか?
「おそらく家族からの教育だろうね。特に父(マリ人)からの。彼は僕の人生においてきわめて重要な人間で、これ以上ないほど尊敬している」
「それと、初めてマリを訪れた際、何が起きているか目にしたんだ。衝撃を受けたよ。自分の国を目にして、自分自身に問いかけたんだ。『なぜ手を貸そうとしないのか? やらなければならない。支えとなるために学ばなければならない』」
ー(マリの首都)バマコにある学校の子供たちを援助しました。
「ヘルスセンターなんかもね。ここには外部の手助けが必要なんだ。僕の国は複雑な状況にある。原理主義者たちが暴れたせいで難民が北部に集まっている。彼らを助けなければならない」
ー世界各国はアフリカに貸し付けを行っていますよね。
「借金(負債)という表現は嫌いだね。僕らは信念に基づいた支えとなるべきだと思っている」
「アフリカが非常に不当な扱いを受けてきたことは事実だし、世界中がこの大陸を助ける責任がある。とはいえ、まずは僕らアフリカの人間が現状を理解しなければならない。西側諸国とアフリカが一体となればこの大陸の置かれた状況を変えられる」
ーあなたはフランス市民でもあり、イスラム教徒になるまでは非宗教的な環境で教育を受けてきました。ムハンマドを風刺する漫画がムスリムの間で論争を巻き起こしていることについてはどう思っていますか?
「世の中には挑発好きな人が数多くいる。彼らは挑発的だが、ムスリムの一部にもそういう人間はいる。誰かを傷つけようとすることへのムスリムの反応も積極的なことがある。西側とムスリム世界がどう共存していくのかについてまだ学んでいないんだと思う。問題はそこにある」
ーあなたはパレスチナへのメッセージを書いたシャツを得点後に見せ、リーグから3,000ユーロの罰金を科せられました。あの事件について悩みましたか?
「確かに悩んだけど、気にかけてはいない。僕が悩んでいたのは他の文章とは違って許可されなかったこと。僕は間違ったことはしていないし、誰かを傷つけてもいない。この世では悪いことをした人間は罰せられると僕は信じている」
ーなぜクリスティアーノ・ロナウドが悲しいと言うのか分からないんですが・・・。
「う~ん・・・その騒動に巻き込まないでくれ。話を追えていないんだ。誰かの私生活を分析するために立ち止まったりはしないよ」
ーセビージャで7年を過ごして、ここアンダルシアにアフリカ的なものはありましたか?
「多くあるよ。僕らは兄弟さ。ここに来る人には前もって言うんだ。セビージャでは母国のように感じられるよってね」
(筆:Qoly編集部 I)