「お金とJリーグ開催時期問題」

近年ではまれに見る雪による被害が日本各地を襲っていたが、改めて、いつにJリーグを開催すればいいのか、という問題を考えさせられた。お前もヨーロッパか、と思うくらいに欧州への移籍がなんてことはなくなった昨今であるが、Jリーグの開催時期というものも、この問題に絡めてあげられることがしばしばである。

現状の3月から12月にかけての開催カレンダーにおいて、問題となっているのは夏場とヨーロッパの開催カレンダーと同一でないという点だろう。

夏場の連戦におけるパフォーマンスというのは、もはや亜熱帯とも呼べる高温多湿な日本において下がることはやむを得ない。プロのアスリートとはいえども、ジメジメした中で汗が乾かずに垂れ流しの中30℃を超える環境で90分をフルパフォーマンスで、数ヶ月過ごすことは無理と言えるだろう。室外競技で天候に左右され、交代が制限される前提条件ではやむを得ないということだ。


次にヨーロッパのカレンダーと同一でない点だが、こちらは利害がどちらにも発生する以上なんとも言えない問題だ。単純にカレンダーが同一になることで得られるものと失うものが目に見えている以上、どちらの方が黒字になるか、という問題だ。一番は移籍のしやすさを得ることで人材(選手)の移動が活発になればより活性化する、ということだがもちろん今回の雪による被害を見て反対意見もより活発になっている。

「高温多湿な夏を取るか雪害の冬を取るか」

もちろん、日本サッカーの発展を願ってやまない多数の方々は、どっちでもいいから良くなる方、に一票を入れたいのだが、未だにどちらがいいのかはわからないし、この先も明確になることは無いだろう。結果を持って判断するしか無いのだから。 制度をポンと変えるにはなにより「金」がかかる。組織が大きければ大きいほどかかる。新制度を運営するための金もそうだし、クラブや選手が背負う金もそうだ。サポーターが払う金もそうだろう。半分や1,5倍に単純にすればいい問題でもない。金が発生する以上税金も絡むので、税理士も忙しい。クラブは会社であるし、選手は個人事業主でもある。

チーム数削減による試合数減、で冬も夏もやらなきゃいいじゃん、という考えもあったりなかったりだが、Jリーグ全体での興業を考えると、そうは問屋が卸さない。ナビスコカップやめるわけにもいかないし、サテライトリーグが再開しない以上、試合数が下手に減っても若手の出場機会の問題もある。この辺りを絡めていくと、決してJリーグだけの問題ではなく、世界各リーグで苦心している様子が伺える。そして最終的にはどこに行っても金の問題にたどり着く。

サッカーが世界規模でビジネスになったのもここ数十年の話であり、市場全体で成熟の余地がある。まだまだ発展の段階であり、Jリーグはその中でも始まったばかりである。ヨーロッパとの単純比較はできないし、ヨーロッパも国によっては実情がそれぞれ異なっている点を見過ごしてはならない。 一つ個人的意見を述べさせて貰えれば、Jリーグは、ヨーロッパ市場を考えたポジショニングと、アジア市場を考えたポジショニングを同時進行で考えて行かなければならないという点だろう。ここを避けて日本サッカー界の発展はないだろう。 秋春制や春秋制、その他にしても、Jリーグと協会が徹底してやればどうにかなるとは思われるが、そこには信念と強いリーダーシップが求められる。どんなことにも全てのものが痛みを感じないなんてことは無いのだから。メリットとデメリットは同時に存在することを誰もが頭でわかっていても、現実になかなか直面したくはない、というのが本音だろう。しかしそこを無視してうまくいくほど世の中は甘くない。理想と現実のすり合わせを行うためには金と理解とリーダシップ(政治力)が必要なのである。とりわけ金の問題は未だに安定しているとは言いがたい日本サッカー界においてはなかなか難しいが避けて通れない課題である。理想と現実の間には何よりお金が重要なのだ、ということは何もJリーグやサッカーだけでなく、みなさんも普段の生活で感じることはあるかと思う。

皆さんは「正解無きこの問題」を如何様にお考えだろうか。

筆者名 Nemi
プロフィール 様々な媒体との交流があり、その手の世界では名の知れたライター。「文章一本で勝負したい」と完全に素性を消してQolyに登場。

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