毎年多くの選手が新しいクラブへと旅立つが、人気ブログ『CAUGHT OFFSIDE』はこの夏のマーケットで移籍しそうな英国人プレーヤーの特集を行なっている。行き先に注目が集まる10人の実力者たちをご紹介しよう。
アンディ・キャロル (リヴァプール)
今シーズンウェストハム・ユナイテッドへローン移籍しイングランド代表に返り咲いたキャロル。アップトン・パークでのシーズンは成功だったが、ローンが終了したキャロルの所属先はリヴァプールだ。しかし、リヴァプールはキャロル売却の意思を明確にしており、ローン移籍させる事は考えていないという。ウェストハムとリヴァプールは1500万ポンドの移籍金で合意したと言われているが、キャロル本人はアップトン・パークへの移籍に気乗りしていないようだ。なお、古巣のニューカッスルもキャロル獲得を狙っており、1500万ポンドの移籍金を支払うつもりだが、こちらもキャロル本人が気乗りしていなようだ。
ギャレス・ベイル (トッテナム)
この夏のマーケットでの去就が注目を集めるウェールズ代表スター。トッテナムがチャンピオンズリーグ出場権を獲得していれば残留の可能性も高かったが、ノースロンドンのクラブは23ゴールを奪ったベイルの活躍を持ってしてもチャンピオンズリーグ出場権に手が届かなかった。欧州の列強はこぞってベイルを獲得する意思をむき出しにしており、トッテナムは売却不可能の姿勢を示してはいるもののベイル本人が移籍を望めば退団は避けられないと見られている。国内ではマンチェスター・ユナイテッド、チェルシーが獲得を希望し、欧州ではレアル・マドリーがクラブ全体を挙げてベイル獲得に全力を尽くしている。レアル・マドリーは8500万ポンドという世界記録の移籍金を提示すると言われているが、この移籍金を断るのはダニエル・レヴィ会長にとって酷な話だ。
レイトン・ベインズ (エヴァートン)
リーグ屈指の左サイドバックはシーズンを通して移籍の噂にさらされてきた。エヴァートンは売却しない姿勢を貫いてきたが、デイヴィッド・モイーズがマンチェスター・ユナイテッドの新監督に就任した事で報道は過熱している。ベインズ本人の口から移籍に関するコメントは出ていないが、エヴァートンのビル・ケンライト会長や新監督のロベルト・マルティネスからはベインズ死守に向けたコメントが連発されており、移籍の実現性は低いと巷では噂されている。しかし、ベインズは既に28歳。エヴァートンが商売を目論むならば、今しかないと考える説もある。移籍許可までのハードルを上げる事で移籍金を多く引き出す作戦はこれまでの移籍の歴史で繰り返されており、今回がその例に該当する可能性は大いにあり得るだろう。
ルーク・ショウ (サウサンプトン)
17歳の左サイドバックはイングランドで最も才能ある若手に数えられる選手の1人だ。セインツのサイドバックはプレミアリーグのトップチームから関心を持たれており、パトリス・エヴラの後継者を探す必要があるマンチェスター・ユナイテッドとアシュリー・コールの後継者を探す必要があるチェルシーが最も獲得に興味を持っているという。ユナイテッドの新監督、デイヴィッド・モイーズはレイトン・ベインズの獲得に失敗した場合はショウ確保に動くと言われているが、ショウは小さい頃からチェルシーのファンであり、チェルシーがショウとセインツを口説き落とす事を恐れているようだ。セインツもショウを安価に手放すつもりはなく、近いうちの新しい契約を結ぶのは間違いないだろう。その契約が成立してからが本当の戦いになるのではないだろうか。
アシュリー・ウィリアムズ (スウォンジー)
ミカエル・ラウドルップ監督の下で躍進したスウォンジーにおいて、FWのミチュ同様にプレミアリーグで高く評価されているのはアシュリー・ウィリアムズだ。リバティー・スタジアムのキャプテンとしてチームを牽引。リーグカップ制覇に導く活躍を魅せた。当然国内のクラブからの評価はうなぎのぼりで、アーセナルとリヴァプールが最も興味を持っているクラブだ。ウェールズ代表DFは元指揮官のブレンダン・ロジャーズが所属するアンフィールドへの道に乗りつつあると言われている。移籍金は1000万ポンドと28歳のDFとしては妥当な金額だ。
ジョン・テリー (チェルシー)
元イングランド代表キャプテンは、かつてヨーロッパで最高のセンターバックの1人と考えられていた。特にチェルシーがプレミアリーグを制覇した2005年や2006年は。しかし、昨季からはチェルシーのキャプテンは既にレギュラーとしてプレーするレベルに無いと盛んに報じられており、新監督として敬愛するジョゼ・モウリーニョがスタンフォード・ブリッジに帰ってくるが、テリーの居場所は限定されるのではないかと噂されている。テリーは移籍すべきだと言われているが、興味を持っているのはリーグ・アンに昇格したASモナコだ。大物選手を次々と獲得する「第二のPSG」は元イングランド代表キャプテンを守備の要に据えたいと考えているようだ。
ギャリー・フーパー (セルティック)
スコットランドで最も危険なストライカーの1人であるフーパーは、昨シーズン19ゴールを奪ってセルティックのスコティッシュ・プレミアリーグ制覇に大きく貢献したイングランド人だ。フーパーはプレミアリーグでの経験がなく、スコットランドで花開いたストライカーが目指す新天地がイングランドのプレミアリーグであることは間違いないだろう。現在サンダーランドとノリッジがスコットランド産イングランド人ストライカーの獲得を巡って競争しており、サンダーランドの指揮官、パオロ・ディ・カーニオは獲得を強くフロントに求めているようだ。またプレミアリーグに昇格するハル・シティや日本代表DF吉田麻也の所属するサウサンプトンも興味を示すなど引く手数多の状況にある。
スコット・シンクレア (マンチェスター・シティ)
マンチェスター・シティでの難しい最初のシーズンを終えたシンクレア。スウォンジーから620万ポンドで昨年の夏に移籍してきたウィンガーはスタメン出場2回、途中出場9回という成績に終わった。ロベルト・マンチーニ前監督はシンクレアを評価せず、結果として多くの試合でベンチを温めることとなってしまった。シンクレア本人は出場機会を求めており、来年の夏のワールドカップに出場するためにも移籍して結果を残す事を望んでいるようだ。移籍先として噂されているのはスウォンジーへ戻るという選択肢である。スウォンジーは彼と再契約するべきではないという意見もあるが、スウォンジーは移籍金が高ければシンクレアをローンで獲得しようと考えているようだ。
スチュワート・ダウニング (リヴァプール)
2年前にアストン・ヴィラから2000万ポンドの移籍金でリヴァプールに加入したダウニングだが、結果を残すことができず昨年の夏には放出されるという噂が数多く出まわっていた。しかしダウニング本人が残留を望んだために今季もアンフィールドでプレーしたが結果を残す事はできなかった。ダウニングに対してはフラムが獲得を狙っているという。リヴァプールとしてはできるだけ2000万ポンドの移籍金を改修したいと考えているようだが、この2年間の成績ではなかなかそれも難しいのではないだろうか。
ウェイン・ルーニー (マンチェスター・ユナイテッド)
10人目がウェイン・ルーニーであることは誰から見ても明らかであったろう。2004年にオールド・トラッフォードへ渡ってきたストライカーは、サー・アレックス・ファーガソン監督と共にプレミアリーグのタイトルを幾度も制覇。2008年にはチャンピオンズリーグを勝ち取っている。しかし、今季のルーニーはチャンピオンズリーグのレアル・マドリー戦のセカンド・レグで先発を外れるなど順調なシーズンを送る事ができなかった。そしてシーズン終了間際の退団表明騒動である。新監督のデイヴィッド・モイーズは残留を望んでいるが、ルーニー本人は移籍の可能性を探っている状況になるだろう。移籍先として注目を集めるのはチェルシー、PSG、モナコだ。そしてアーセナルという噂も根強い。アーセナルのチーフ・エグゼクティブであるイヴァン・ガジディスも実現はともかく、様々な見地から考えて獲得に動く可能性がある事を示唆している。イングランド代表のスターはどこへ行くのだろうか。
以上が移籍に注目が集まる英国人プレーヤーたちだ。夏のマーケットが閉じる時、彼らが新天地でスタートを切っているかクラブを変えずに戦い続けているのか注目してみるのも良いのではないだろうか。