多くのサッカーファンを熱狂させたコンフェデレーションズカップがついに幕を閉じた。W杯を見据えたこの大会では、ザッケローニ率いる日本代表の課題が数多く見つかり、大変有意義な経験を積めたと言えるのではないだろうか。
いまや日本代表のほとんどが海外でプレーする時代となったが、やはりJ1での活躍をキッカケに代表の切符を掴む選手は少なくない。ザッケローニが各地のスタジアムへ頻繁に足を運んでいることからも、J1でのプレーぶりが重要視されていることがうかがえる。そこで、今回の当コラムでは、まもなく再開するJ1の見どころや興味深いポイントを一挙に紹介することで、普段あまりJ1を見ないサッカーファンにも興味を持っていただこうと考えている。では、早速J1の魅力を語っていきたい。
・まさに群雄割拠
J1の最大の魅力は、各チームの力が拮抗しているため、上位争いが白熱していることである。鹿島アントラーズが3連覇を達成(2007年から2009年シーズン)して以来、連覇を成し遂げたチームは存在せず、ここ3シーズンの王者(名古屋グランパス、柏レイソル、サンフレッチェ広島)はいずれも初優勝となっている。特に2011年シーズンの柏レイソルは、史上初となる昇格1年目での優勝を果たし、J1の群雄割拠ぶりを示した。昨シーズンは昇格1年目のサガン鳥栖がACL出場権一歩手前の5位でシーズンを終えるなど、近年はタフなJ2でもまれた昇格組がサプライズを提供することも珍しくない。
2013年シーズンもこれまで残留争いに巻き込まれることの多かった大宮アルディージャが首位を快走し、多くのサッカーファンを驚かせているが、上位争いだけでなく残留争いも見所が多い。昨シーズンはJリーグ屈指の名門であるガンバ大阪と大型補強に出たヴィッセル神戸がJ2降格の憂き目にあい、今シーズンも2010年シーズンの王者である名古屋グランパスと昨シーズン躍進したサガン鳥栖、すでに監督交代が断行されたジュビロ磐田が下位に沈んでいる。昨シーズンはアルビレックス新潟が大逆転でJ1残留を果たしており、最後まで気の抜けない争いが続きそうだ。
・コンパクトな守備
J1に所属するチームの多くがコンパクトな守備ブロックを形成しているのも特徴である。最終ラインを高く保ち、アグレッシブな守備を仕掛けるチームが多いことが、真っ向勝負につながり、前述した群雄割拠に寄与していると言えるだろう。例えば、プレミアリーグでは、上位チーム対下位チームの試合は一方的な展開となることが多い。それは、下位のチームが自陣深くにブロックを形成し、失点のリスクを減らす代償として、相手チームにポゼッションを譲るからであり(スウォンジーのようにいかなる相手でも最終ラインからのビルドアップを徹底するチームもあるが)、そこまで白熱した展開となることはあまりない。その点、J1は相手によって戦術を変えるチームが少なく、拮抗した展開が期待できる。確かに、プレミアリーグのようなスペクタクルなゴールシーンを見ることはできないかもしれないが、手に汗握る攻防がJ1にはある。
J1のほとんどのチームが採用しているシステムが、中盤をフラットにした4-4-2または4-2-3-1だ。守備の際には最終ラインと中盤の4人が等間隔でブロックを作り、ボールホルダーにプレッシャーをかける。お互いのチームがコンパクトな守備ブロックを敷くため、浅い最終ラインの裏をつくストライカーの活躍も目立っているが、この点については後述したいと思う。
・日本人ストライカーの活躍
かねてより日本代表では「決定力不足」が叫ばれてきた。一人で試合を決めてしまうような、圧倒的な個の力を持ったストライカーの出現を多くのサッカーファンが待ちわびていることと思うが、今シーズンのJ1は例年以上に日本人ストライカーの活躍が目立っており、日本代表の救世主となりうる選手が目白押しだ。
13試合を消化し、得点ランキングで首位を走るのが、ポストプレー、チャンスメーク、得点力のいずれにも長けている万能型・渡邉千真(FC東京/9ゴール)、ついにその特大の才能を完全開花させた感のある柿谷曜一朗(セレッソ大阪/9ゴール)、昨シーズンの得点王で、優れた得点感覚を誇る佐藤寿人(サンフレッチェ広島/9ゴール)の3人。彼らを追うのが、ゴール前での勝負強さとサイドでも機能するマルチさが売りの工藤壮人(柏レイソル/8ゴール)、10代のころから注目され続け、31歳となった現在は第二の春を謳歌している大久保嘉人(川崎フロンターレ/8ゴール)、圧倒的なエアバトルの強さを誇り、代表入りを願う声も多い豊田陽平(サガン鳥栖/8ゴール)といったタイプの違う3選手だ。すでに佐藤と工藤は代表に呼ばれており(ともに出場機会はなかったが)、結果を残しているストライカーは代表入りが近いと言えるだろう。現在の日本代表は1トップを採用しているだけに、かなり熾烈な争いとなりそうだが、日本代表を救うであろうストライカーの活躍を追ってみるのも一興だろう。
2013/7/1 ロッシ
筆者名:ロッシ
プロフィール:エル・シャーラウィ、ネイマール、柴崎岳と同世代の大学生。鹿島アントラーズ、水戸ホーリーホック、ビジャレアルを応援しています。野球は大のG党。
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