100mを9.58秒で駆け抜ける人類史上最速の男、ウサイン・ボルト。昨年BBCのインタビューで、将来的にサッカー選手へと転向する意思を明かしたことにより、世界中のサッカーファンが彼のサッカー選手としてのデビューを今から期待をしていることだろう。

そんなボルトが来月、ついに記念試合に出場するとの報道が話題を呼んでいる。02年の入団以来、圧倒的なリーダーシップで数々のタイトル獲得に貢献してきたリオ・ファーディナンドの功績を讃える、テスティモニアルマッチだ。その多くはタブロイド紙が中心だが、マンチェスター・ユナイテッドに強い憧れを持つボルトということもあり、その可能性はなきにしもあらずと言ったところか。

マンチェスター・ユナイテッドファンのボルト

では、そんなボルトの特徴が最も活きそうポジションとは一体どこなのだろうか?簡単に分析してみたい。

なお今回は、ボルトのサッカー選手としての素質には触れず、あくまで理論としての考察になることをご理解いただきたい。

こちらはボルトが100mを走る様子である。ボルトの特徴は大きく言って2つある。1つはトップアスリートすら寄せ付けない圧倒的なスピードと、もう1つは驚異的なまでの加速力である。

ボルトに「世界最速」という代名詞がある以上、サッカー選手として勝負するにはその特徴を最大限に利用しない手はないだろう。ボルト自身足元の技術にも自信があると話しているが、さすがに世界のトップレベルで通用するほどサッカー選手も甘くはない。であるならば、ボルトにはやはり攻撃的な役割を与えることが最も彼の良さを活かすことになる。

サッカーにおいて最もスピードが活きるのは、言うまでもなく両サイドである。サッカーではゴールがピッチ中央にあり、ピッチ中央の守備を優先的に固めることがセオリーとされているためだ。スペースもなく選手が密集しがちなピッチ中央より、両サイドの方が世界最速のアスリートのポテンシャルを最大限に発揮することができるだろう。

では、2つ目の特徴である超人的な加速力が活きそうなポジションはどこか。それは、サイドバックなのではないだろうか。

サッカーのフルコートのタッチラインは、およそ100m。これは、ボルトが得意とする距離だと言える。サイドバックは攻から守、また守から攻への切り替えと同時に100m近いスプリントが求められるポジションである。このポジションの選手のポテンシャルが、そのチームの攻撃に何倍もの厚みを生むことは長友のプレーを見ていれば理解できる。

自陣深くからダッシュを始めたボルトの加速力がピークに達する頃、ボルトは敵陣の危険なエリアに侵入し始めている。守備から攻撃に切り替わった時、人類史上最速の男が敵陣の危険なエリアを疾走しているのだ。その様は、想像するだけでも圧巻である。

ちなみにこれは真偽が不確かだが、アーセナルのウォルコットは100mを10.3秒で、レアル・マドリーのクリスティアーノ・ロナウドは10.63秒、宮市亮は10.83秒で走るそうだ。仮にウォルコットとボルトが100mを並走した場合、ボルトがゴールに辿り着いた時、ウォルコットはゴール手前7mを走っているそうだ。7mというハンデがサッカーにおいてどれだけのアドバンテージを持っているかは、サッカー経験者なら簡単に想像がつくことだろう。

以上はあくまで理論上の話である。この理論より優れた考え方があって当然であるし、これが答えかどうかは分からない。しかし、これを機会にボルトのサッカー界進出について、各自がイメージを膨らませることはとても有意義であることのようにも思う。

なおそのボルトだが、この記念試合では親交のあるファーディナンドとセンターバックを組むのではないかと報じられている。ちなみに利き足は左足。196cmという大きな体ながら足元の技術は柔軟で、彼の発言が無実のものではないことが分かる。

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