タイの女性シャンティマ・ユッタイソンさんが、先日出産した息子に「Anfield(アンフィールド)」と名付けたと、地方紙『Liverpool Echo』が伝えている。

アンフィールドとは、もちろんリヴァプールのホームスタジアムのことである。キャパシティは5万人にも満たないコンパクトなスタジアムだが、そこに立ち込める雰囲気はヨーロッパ有数。そんなスタジアムの名を、どうして彼女はつけたのだろうか?

実は、ユッタイソンさんの夫ダレン・テイラーさんが先日、タイのバンコクで何者かのよって殺害されていたのだ。ダレンさんは当時34歳。リヴァプールの出身のリヴァプールサポーターだが、当時はタイに居住していた。

記事によると、ダレンさんは息子の誕生を心待ちにしていたという。なんでも、ダレンさんは奥さんにリヴァプールのシャツを買いに行くためだけにタイからイギリスへと帰国することもあったなど、そのリヴァプールへの愛は誰もが認めるものであった。おそらく、やがて生まれてくる息子と愛するクラブを応援できることが、何よりも楽しみだったのだろう。

彼が殺害されたのは、息子が生まれるわずか5ヵ月前のことだった。現在、リヴァプールはプレミアリーグで好調。ルイス・スアレスの得点力が爆発し、ブレンダン・ロジャーズ監督の指導が徐々に功を奏し始めている。これほどまでに輝かしいシーズンを前に亡くなったのは、まさに不幸と呼ぶしかなかった。

そして、妻のユッタイソンさんは決断する。生まれてきた息子に、夫が愛を誓ったサッカークラブのホームスタジアムの名をつけることを―。

Liverpool support in Mombassa 2002

『Liverpool Echo』が載せたアンフィールドくんの写真は、ユッタイソンさんからダレンさんの両親に送られてきた写真だそうだ。

ダレンさんの父親ギャリーさんは取材に対し、「この写真を見て、この赤ん坊は小さい頃のダレンとルイス(ダレンさんの甥)に似ていると感じたよ」と答え、「もしダレンが今生きていたら、私たちのところまで来てこの子を連れてきてくれたんだろうね。そして、彼と休日を過ごすためになんとかしていたかもしれないのに」と失意の念を吐露している。

サポーターが持つクラブへの愛の力はこれほどまでに大きい。

世界中のサポーターの威信とプライドを胸に、今日も選手たちはピッチを駆け抜ける。

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