13日に行われたバレンシアとフィオレンティーナのプレシーズンマッチは、試合以上に大きな話題が集まるものになった。
試合開始前、メスタージャでは今季に向けたメンバーが盛大に発表されていた。しかし、最も重要なセレモニーとして行われたのは、ある人物のためのものだった。
両チームのファンや選手から大きな歓声を受けたのは、バレンシアの名物キットマン(用具係)であるベルナルド・エスパーニャ氏だ。
1938年生まれの彼はバレンシアの下部組織で育った優秀な選手であったが、16歳の時にオートバイ事故でアキレス腱を切り、サッカー選手としての夢を諦めざるを得なくなった。
そして1961年からバレンシアのスタッフとして様々な仕事を行い、2003年には定年を迎えるも、賃金が制限されながらも用具係としてクラブに残っていた。
また他人のサインを模倣するという特技を持っており、選手の活動をいろいろなところで助けたという逸話もある。
バレンシアと彼の関係は実に55年に及んだが、78歳になった今年ついにクラブを離れることになったのである。
人生のほとんどをバレンシアに捧げてきたベルナルド・エスパーニャ。スタッフの引退に誰よりも大きなセレモニーを行ったことに、世界中から感動の声が届いているようだ。