2017-18シーズンのスペインリーグ(ラ・リーガ)は第9節までが終了した。
上位陣に目をやると、バルセロナ、レアル・マドリー、アトレティコ・マドリーらが陣取り、居酒屋で言うところの「定番メニュー」が並んでいる。ここ数シーズン変らない光景だ。
だが、そこに“意外な名前”が割り込んでいることをリーガファンであればご存知だろう。
そう、バレンシアである。
彼らを“意外な名前”と称するには失礼かもしれない。かつてはラ・リーガやUEFAカップで頂点に立ち、CLにおいてはファイナルまで二度も進んだ実力者だからだ。だが、それも十年一昔の話。ラファ・ベニテスが率いていた時代まで遡る。ここ最近の成績で言えば、昨季と一昨季は12位。その前のシーズンこそ4位で終えているが、もはや「かつての輝きを失っている」というのが大方の見方だろう。
だが、今季の彼らは一味違う。
第9節終了時点で、首位バルセロナに勝ち点差4に迫る2位に躍り出ており、総得点数に関してはわずかに1点差の25得点。1試合平均2.77得点は、欧州の列強たちとも肩を並べられるハイスコアだ。
その一方で、チームのコンセプトは、それこそベニテス時代を想起させる、組織的な堅い守備がベースとなっている。
最後尾には、ユヴェントスではブッフォンの後塵を拝したが、紛れもない実力者であるネトが君臨。守備陣は、ネトと同様に今季の新戦力である、元インテルのジェイソン・ムリージョが加わり、エセキエル・ガライ(もしくはガブリエウ・パウリスタ)、マルティン・モントージャ、ホセ・ガジャで4バックを形成。
そして、ピボーテにはリーグ屈指のコンダクターである、主将ダニエル・パレホ。そのパートナーには、インテルで「失格者」の烙印を押されたジョフレイ・コンドグビアが据えられ、息を吹き返したかのように躍動している。
ボール支配率やパス本数では対戦相手に下回りながらも、確実に勝ち点を稼げるチームは少ない。
だが、彼らはその常識を覆している。
安定した守備を終始続け、自ら崩れるようなことがなければ、ここまでの成績を収められるということだろうか…。
だが、それよりも魅力的なポイントがある。それが驚異のゴール数を叩き出している、攻撃ユニットだ。