逆転優勝のためにホームでの勝利を追い求めたガンバ大阪。ホームパナスタに迎えたのは難敵アビスパ。最近勝ててないとはいえ、アビスパ福岡の守備は堅実で打ち崩し難いものがあります。しかしここ最近は523のプレスを攻略されつつありました。そこでアビスパ福岡はガンバ大阪対策を考慮してゲームプランを練ってパナスタに乗り込みました。それに苦しめられたガンバ大阪でしたが、的確な修正とともに後半は圧倒。お互いに良さを出し合い、駆け引きの多い試合となり見応えのある一戦でした。

では今回はこの試合について振り返ってみましょう!

アビスパが練ってきたゲームプランとは?

久しぶりにスタートから442で試合に臨んだアビスパ福岡。この狙いはどこにあったのか、まずはこれについて触れていく前にそれぞれのタスクについて考えてみます。

・2トップのプレスの出入りでCBの牽制とCHを管理

・SHはSBを消しす。ミドルブロックはハーフスペースを背中で隠す

・SBはマンツーマンでSHに対応。迎撃の準備

・CHは出口になるOMFやCFを迎撃。また列をひっくり返された時にCBと挟撃で迎撃エリアでボールを回収

・CBは上のパスの対応と迎撃を考慮

各ポジションでのタスクとしての大枠はこのようになっていました。ではここからどのようにボールを、回収し、442にした狙いについて考えていきます。

では早速以下の図をご覧下さい。


まず岩崎選手の走力を生かすところからハイプレスが始まります。この際のサイドプレーヤーはそれぞれ対面を意識していきます。そしてプレスの口火役としてザヘディ選手がそれを担うのですが、それを後ろでコントロールしていたのが岩崎選手です。彼がプレスのタイミングを指示してプレスを開始していきます。

これには以下のような理由がありました。

下の図をご覧下さい。


このように岩崎選手はCHまで下がり切る事によって、前選手と重見選手の「縦移動」のタスクを無くします。ここに大きな狙いがあったと僕は考えます。

アビスパはCHを動かされてしまうと迎撃エリアが明確にならないので、これを解消するために岩崎選手を2トップの一角にしてその走力を生かしながら「CHを動かされる」課題を解消しました。

これによってハイプレス+迎撃が機能していきます。当然ですが、CHの脇に入ってくる選手をCHとCBで迎撃してショートカウンターに出ることを考慮していました。

また442にした狙いとして「ガンバSBの背後を狙う」ことを考えたのだと思います。

以下の図をご覧ください。


このように442のハイプレスを敢行できない場合は、442のミドルブロック形成します。この際ガンバはSBを押し上げること(アラーノ選手と山下選手が内側に入ってしまうがゆえに)が多くなります。

ここでSHはSBまで下がるのではなく、内側に入るSHを背中で消してSB vs SBの構図を狙って作り出していました。これによってアビスパ福岡SBは優位に1vs1に入る事が可能になるので、ボールを回収する事、チーム全体として圧縮していく事が叶っていきます。そして奪ったボールはSBの背後へ送り込みます。この時にSHが下がらず前に対応した事によって、ポジティブトランジションがスムーズになり、一気に崩しに入っていくことができていました。

アビスパ福岡はガンバ大阪の直近3試合の内容と弱点をしっかりとスカウティングしたプランを練ってガンバ大阪を苦しめていました。

ではここからはガンバ大阪な対応/修正について触れていきます。

ガンバ大阪の修正とは?

アビスパの守備に苦しめられたガンバ大阪。しかしハーフタイムでしっかり修正を施したことによって、試合を完全に取り戻します。

ではどのような修正を加えたかを考えていきます。

まずは以下の図をご覧下さい。


このようにまずはSBに幅を取らせることを行います。これによって、アビスパ福岡の2ndラインを広げることに成功します。更に大きく変えたのがアラーノ選手のプレーエリアの制限です。これがこの試合に大きく影響を与えていきます。

彼が動き過ぎたゆえに宇佐美選手や坂本選手のプレーエリアが制限されたのですが、アラーノ選手のプレーエリアをサイドとハーフスペースにしたので、宇佐美選手の列降りが可能になります。

これでダワン選手、鈴木選手、宇佐美選手の中盤化と山下選手の出口を作り出す事ができます。

ではなぜこの修正が効いていたのでしょうか?

それは「アビスパCHを動かすこと」に繋がったからです。

ではどのようにそれを行なっていたのでしょうか?

以下の図をご覧下さい。


このように CBの持ち出しによってアビスパ2トップを動かしていきます。これによって、サイドのトライアングルを形成します。その際、宇佐美選手がサイドに流れてアラーノ選手がハーフスペースに入って、トライアングルを形成する人を入れ替えていきます。これによって、アビスパCHは宇佐美選手についていくことが多くなっていました。だから宇佐美選手のところで起点を作るのか、それともCHを動かしたことによってできたスペースで起点を作るのか。ここを上手く使っていけたので、ガンバ大阪はアビスパ福岡の守備を崩して押し込んでいくことに成功しました。

確実に後半は押し込み続けることで決定機を作り出していましたし、宇佐美選手のプレーはやっぱりワクワクするな!と感じる一戦でした。

最後に何か起こりそうな雰囲気はあったのですが、2-2の痛み分けとなったこの一戦。駆け引きが多く、面白い一戦でした。宇佐美選手のプレーを見るだけでも大いに価値のある試合だと思います。ぜひ見返してみて下さい!

Nobuya Akazawa|J1全部見るマン|

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