2026年6月に開幕したFIFAワールドカップは、大会史上まれに見るほど政治的な問題の多い大会となっている。アフリカ最優秀審判が渡米直後に入国を拒否された一件を皮切りに、イラン代表への査証拒否、トランプ大統領による審判判定への介入、各都市での抗議デモやボイコット運動など、開幕前後から政治的な出来事が相次いだ。トランプ政権の移民政策や大統領自身の言動が、大会運営全体に影を落としている。

審判とイラン代表を襲った"入国の壁"

米メディア『NBCニュース』によると、アフリカ最優秀審判に選ばれたソマリア人のオマル・アルタン氏は、マイアミ国際空港での入国審査時に拘束され、11時間の尋問を経て本国へ送還された。同メディアによると、トランプ政権高官は匿名を条件に「テロ組織のメンバーとされる人物との関わり」を理由に挙げたが、証拠は示さなかった。アルタン氏は米紙『ニューヨーク・タイムズ』の取材に「何も知らない」と否定し、帰国後のモガディシオでは政府関係者や市民に英雄として迎えられたという。

仏メディア『フランス24』によると、イラン代表もワシントンとの軍事衝突を受けて拠点をアリゾナ州からメキシコへ移し、米NBCニュースは、イラン国営メディアの報道としてスタッフ15人が結局入国を認められなかったと伝えている。

イランも15人のビザ拒否——W杯開幕前から続く入国問題

米メディア『CNN』によると、米代表FWフォラリン・バログンはボスニア・ヘルツェゴビナ戦でレッドカードを受け出場停止となったが、トランプ大統領がインファンティノFIFA会長に電話をかけて再審査を求めた結果、FIFAは処分を覆した。トランプ氏は自身のSNSで「FIFAが正しいことをして、大きな不正義を覆した」と投稿する一方、審判については「いささか怪しい」とも述べたという。

同メディアによると、ベルギーのプレヴォ外相は「多くの疑問が残る」と述べ、欧州委員会のスポーツ担当委員も「スポーツの判断は政治家の仕事ではない」と批判した。米誌『TIME』によると、こうした事態を受けオランダでは大会ボイコットを求める署名が17万人を超え、独サッカー連盟幹部もボイコットの検討を口にしている。

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