富樫、渡邊、ホグ……千葉Jが残り4.5秒で逆転勝ち
冬の冷え込みが少し和らいだ12月7日の南船橋。ららアリーナ東京ベイで行われた千葉J対名古屋Dの一戦には、B1最多となる10,500人のファンが詰めかけ、スタンドは両軍のチームカラーで真っ赤に埋め尽くされた。
この日は千葉Jとプロ野球・千葉ロッテマリーンズのコラボデーでもあり、マスコットや公式パフォーマンスチームに加え、河村説人投手、上田希由翔選手も来場し、会場を大いに盛り上げた。

この試合でコートに立った代表帰りの選手は4名。千葉Jの富樫勇樹(#2 / 167cm)、渡邊雄太(#1 / 206cm)、原修太(#31 / 187cm)と、名古屋Dの齋藤拓実(#2 / 172cm)だ。
先に試合のペースを握ったのはアウェーの名古屋Dだった。前日の第12節GAME1(12月6日)を73-75で制した勢いそのままに、1クォーターから6本の3ポイントシュートを決めるなど21-29と先行する。しかし、2クォーターに入ると千葉Jも反撃。ディー・ジェイ・ホグ(#10 / 207cm)が3本の3ポイントシュートを射抜くなど流れを呼び込み、43-41と逆転して後半へ。
3クォーターも両者譲らない展開が続き、千葉Jの原が3ポイントシュートを決めるなど食らいついたが、62-63で名古屋Dがわずか1点のリードで勝負の4クォーターへ突入した。名古屋Dはアラン・ウィリアムズ(#15 / 203cm)らを起点に、インサイドの攻防で優位に立ち、残り5分を切って72-79とリードを広げる。しかしドラマは終盤に待っていた。

千葉Jは残り3分を切ってから富樫、渡邊が3ポイントシュートを沈め、渡邊はさらにブロックショットも決めてピンチの芽を摘むなど奮闘。残り51秒でジョン・ムーニー(#33 / 206cm)がペイントエリアで得点し、82-83まで迫る。
名古屋Dは今村佳太(#30 / 191cm)の3ポイントシュートで再び4点差とするが、千葉Jは残り28秒のタイムアウト直後にホグが再び3ポイントシュートを命中させ85-86と1点差に。
さらに、名古屋Dが得たフリースローは会場の大ブーイングも響き、2本とも失投となる結果に。このチャンスを逃さなかった千葉Jは、ホグがドライブでゴール下に侵入して、ファウルを獲得。残り4.5秒から2本のフリースローを決めて87-86の逆転。最後は司令塔・齋藤を起点とした攻撃を阻んで、大接戦の末に幕を下ろした。
代表選手を労う千葉Jの指揮官……「最後までリーダーとしてタフな試合を勝ちぬいてくれたことを誇りに思う」
1勝1敗のタイで終わった東西上位対決は、互い粘り強さが発揮された好ゲームとなった。名古屋Dの齋藤は惜敗した試合を振り返り、「点差、時間、ゲームのクロージングで、もっと上手にできたと思いますし、学べる部分がたくさんあったと思います」と前向きに受け止めた。
名古屋Dはここまで17勝3敗と好調で、60試合のレギュラーシーズンはまだ3分の1が終わったばかり。
「またこういったシチュエーションが起きた場合、同じようなミスを起こさないようにチームとしてもっと上達していきたいと思います」と語り、今後の成長に意欲を見せた。
一方、千葉Jは大接戦を制し、ホームでの連敗を3でストップ。
試合後の会見で富樫は「今日の試合を落としていたら、かなりチームとしてはなかなか上を向くのが難しい2日間だったと思います。ですが、きょう最後に勝ち切ったことでかなりポジティブに次の試合に臨めると思う。(勝つか負けるかは)かなり大きな違い」とコメント。
また、代表活動からリーグ戦へ戻る心境を問われると、同じ司令塔として、代表戦をともに戦った齋藤を気遣いながら次のように語った。
「僕以上に(齋藤)拓実が疲れている顔をしていたと思います。久しぶりにシーズン中の代表活動で(試合でも)スタートで2試合に出て、出場時間は多くなかったですけど、精神的なものも含め、代表は少し違うので(大変だったと思います)。でも、しっかり1勝1敗で終われて良かったです。代表活動は大変ですが、本当にプレッシャーの中で試合をする経験はこれ以上なく、選手の成長を促してくれる場所。まずケガをせず、残りのシーズンに臨めたらと思います」
そんな代表メンバーについて、千葉Jのトレヴァー・グリーソンHCは、労いの言葉を寄せた。チームは富樫、渡邊、原のほか、金近廉、さらに直前合宿には瀬川琉久が候補として招集されており、中断期間中は5名がクラブを離れていた。
グリーソンHCはチームづくりの難しさに触れつつも「5人も選ばれたことは本当に光栄なこと」と話し、選手たちの活躍を称えた。
「今日は本当に渡邊選手と富樫選手が最後までリーダーとしてチームを引っ張ってくれて良かったと思います。渡邊選手はきょうコンディションが良くなかったのですが、自分のスコアよりアシストで貢献してくれて、最後の大事な場面でブロックショットも決めてくれました。原選手も頑張ってくれましたし、金近選手は昨日ケガをしてしまいましたが、よくやってくれました。帰ってきた選手たちは本当にコンディションを整えて、最後の最後までタフな試合になりましたが、勝ち試合を見出してくれて、本当にチームとしても誇りに思います」
Bリーグ B1第11節 他会場の結果
他会場の結果で目を引いたのがレバンガ北海道(北海道)だ。アウェーでサンロッカ-ズ渋谷に2連勝を挙げ、チーム史上初の9連勝を飾った。東地区は首位・宇都宮ブレックス、2位・千葉J、3位・北海道が勝ち星で並ぶ大混戦の模様を呈し始めている。
西地区では、長崎ヴェルカがホームで越谷アルファーズに2連勝し、6戦負けなしで首位をキープ。2位の名古屋Dに続き、シーホース三河が7連勝で3位、昨シーズンのチャンピオンシップ2位の琉球ゴールデンキングスも5連勝で4位につけている。
【結果】B1 第12節(2025年12月5日~7日)
12月5日 / 6日
・三河 98-82 滋賀 / 三河 105-80 滋賀
12月6日/ 7日
・茨城 66-68 横浜BC / 茨城 77-92 横浜BC
・宇都宮 84-78 秋田 / 宇都宮 86-81 秋田
・SR渋谷 77-80 北海道 / SR渋谷 94-100 北海道
・広島 72-81 琉球 / 広島 68-74 琉球
・三遠 92-93 島根 / 三遠 99-92 島根
・仙台 74-67 FE名古屋 / 仙台 57-70 FE名古屋
・千葉J 73-75 名古屋D / 千葉J 87-86 名古屋D
・大阪 80-76 A千葉 / 大阪 68-93 A千葉
・佐賀 91-64 A東京 / 佐賀 90-77 A東京
・富山 74-89 群馬 / 富山 91-82 群馬
・京都 78-65 川崎 / 京都 77-80 川崎
・長崎 91-58 越谷 / 長崎 99-76 越谷
【順位表】B1 第12節終了時点(2025年12月7日)
●東地区
1位|宇都宮ブレックス|16勝4敗(.800)
2位|千葉ジェッツ|16勝4敗(.800)
3位|レバンガ北海道|16勝4敗(.800)
4位|群馬クレインサンダーズ|13勝7敗(.650)
5位|アルバルク東京|10勝10敗(.500)
6位|仙台89ERS|9勝11敗(.450)
7位|越谷アルファーズ|8勝12敗(.400)
8位|横浜ビー・コルセアーズ|8勝12敗(.400)
9位|サンロッカーズ渋谷|8勝12敗(.400)
10位|アルティーリ千葉|7勝13敗(.350)
11位|川崎ブレイブサンダース|4勝16敗(.200)
12位|茨城ロボッツ|3勝17敗(.150)
13位|秋田ノーザンハピネッツ|3勝17敗(.150)
●西地区
1位|長崎ヴェルカ|18勝2敗(.900)
2位|名古屋ダイヤモンドドルフィンズ|17勝3敗(.850)
3位|シーホース三河|14勝6敗(.700)
4位|琉球ゴールデンキングス|14勝6敗(.700)
5位|広島ドラゴンフライズ|11勝9敗(.550)
6位|島根スサノオマジック|11勝9敗(.550)
7位|佐賀バルーナーズ|9勝11敗(.450)
8位|大阪エヴェッサ|9勝11敗(.450)
9位|滋賀レイクス|9勝11敗(.450)
10位|三遠ネオフェニックス|8勝12敗(.400)
11位|ファイティングイーグルス名古屋|7勝13敗(.350)
12位|京都ハンナリーズ|6勝14敗(.300)
13位|富山グラウジーズ|6勝14敗(.300)
執筆:Qoly Bリーグ・バスケットボール取材班
