一方、今シーズンのBリーグには大学卒業を待たずにいち早くプロの世界へ飛び込んだ若手選手たちがいる。その一人が、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの小澤飛悠だ。
1月31日のB1第21節、横浜ビー・コルセアーズ戦では2桁得点を挙げ、確かな存在感を示した。アンダーカテゴリー日本代表経験を持ち、将来的なA代表入りも期待される21歳はいま、何を思い、コートに立っているのか。
B.LEAGUE初となるドラフト会議『B.LEAGUE DRAFT2026』が開催
今回初めて行われた「B.LEAGUE DRAFT 2026」。この背景には、Bリーグが2026-27シーズンより進める「B.革新」の取り組みがある。現行のB1、B2、B3のディビジョンを、売上や入場者数、アリーナ要件といった経営力を指標に再編成する構想で、ドラフト制度も将来的な戦力均衡を目的とした施策のひとつだ。

笑顔を見せる選手たち Bリーグ、ドラフト初開催 初開催したバスケットボール「Bリーグ・プレミア」の新人ドラフトで指名され、笑顔を見せる選手たち=1月29日、東京都内
新人選手が最高峰ディビジョンであるB.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)のチームに加入するためには、原則としてドラフトを経由する必要がある。今回のドラフトでは、昨年に日本代表候補に選ばれた山﨑一渉(NCAA/ノーザン・コロラド大学)がサンロッカーズ渋谷から1巡目1位指名を受けたのを筆頭に、11名が指名を受けた。
大学3年生で中退、「第2のふるさと」でプロ入りを決意した小澤飛悠
ただし、今ドラフトには今シーズン(2025-26シーズン)開幕時点でプロ契約を締結している選手は指名対象にならない、という規定が設けられていた。そのため、渡邉伶音(東海大学中退→アルティーリ千葉)など、何人かの有望な大学生が中退を決断し、Bプレミア参入が決まっているチームへ進む動きもみられた。
名古屋ダイヤモンドドルフィンズの小澤飛悠(#4)も、そうした流れのなかで自らの決断によってプロ入りを果たした一人である。
2004年10月生まれの小澤は現在21歳。190㎝のサイズを生かし、内外角から得点を奪えるオールラウンドなプレーヤーだ。山梨県出身で、高校時代は中部大学第一高校の中心選手として活躍し、卒業後は日本体育大学へ進学した。
2023年には大学1年生ながらU19日本代表に選出され、2025年にはA代表入りを期待される選手たちが集まったディベロプメントキャンプにも招集された。同年春に行われた第74回関東大学バスケットボール選手権大会では、日体大を優勝に導くとともに、MVPと得点王の二冠に輝いている。
そんな世代を代表する存在である小澤は、昨夏、日体大を3年生で中退し、名古屋ダイヤモンドドルフィンズへ加入。当時チームを通じて「愛知県は高校時代を過ごし、僕の頑張りを見て欲しい方がたくさんいる、第2のふるさとだと思っています。そのような土地で歴史あるチームに入団することができ、とても光栄に思っています」とコメントを残し、大きな一歩を踏み出した。
21歳でプロ入り後に工夫した意識。指揮官も期待を込める
昨年10月に開幕した今シーズン、小澤は1月31日の横浜BC戦前までに行われていた33試合のうち28試合に出場。主にベンチからの起用になるが、平均11分ほどのプレータイムを任されている。
第19節のシーホース三河(1月24、25日)はコンディション調整のためエントリーを外れたものの、28日の第20節富山グラウジーズ戦で復帰。31日の横浜BC戦では12分29秒の出場し、確かな存在感を示した。

この日、名古屋Dは序盤から西地区2位、勝率でもリーグ全体2位の強さを見せた。1クォーターから4本の3ポイントシュートを射抜き、B1屈指のディフェンスで横浜BCのミスを誘発。18-24で迎えた2クォーターには、小澤が途中出場から2本の3ポイントシュートを鮮やかにヒットさせ、司令塔で日本代表に名を連ねる齋藤拓実(#2/172cm/PG)も果敢なドライブを決めるなど、30-43とリードして前半を折り返した。
第3クォーターに入ると、アーロン・ヘンリー(#11/198cm/SF)が10分間で11得点を挙げ、小澤も再びコートへ。ファウルを受けながら3本目の3ポイントシュートを沈め、バスケットカウントによるフリースローも成功。10得点目を刻み、名古屋Dは50-75と25点差をつけて第4クォーターへ。最後はやや相手に攻め込まれたが、75-95で危なげなく勝利をつかんだ。
堅守から勢いある攻撃を展開し、実に33本中17本の3ポイントシュートを決めた名古屋D。ショーン・デニス ヘッドコーチは「前回のFIBAブレイク(昨年11月)以降、オフィスのスペーシングが本当に良くなったので、そのおかげで3ポイントの確率も上がっているのが良かったと思います。今後もそこが(勝利へ)必要になってきます」と振り返った。
試合後、多くの取材リクエストが集まった小澤は会見で、4本中3本を射抜いた3ポイントシュートやディフェンスの出来栄えに関して振り返りを求められると、開口一番に「今日のモチベーションは、ドラフトがあって仲の良い人たちがBリーグに行くなかで、自分も頑張らないといけないという刺激をもらったのがひとつ」とコメント。
ディフェンスについては指揮官から「飛悠が試合で出るときにはオフェンスでインパクトを与えて欲しい。ディフェンスのところでナーバスになるところもあると思うけど、オフェンスにフォーカスして出てもらいたい」と言われていことを明かす。その結果、彼としては試合に臨む「マインドがクリアになった」と語り、良い結果に結びついたのだ。
また、スタッツを見返すと2桁得点は、昨年12月24日の佐賀バルーナーズ戦以来。コンディション不良でベンチ外となる試合もあっただけに、プロ入り後、調子の良いときもそうでないときもあるなか、どのような工夫をしているのか尋ねると、次のように明かした。
「やっぱりマインドのところで、ここで打っていいのかな、自分が出たら大丈夫かな、となるときがあるのですが、そういうのを無くすためにも自分が一番準備している気持ちを持つことが大事です。試合に対して、自分が一番考えて準備していると自覚し、自信を持つことを意識してやっています」

小澤はいま、チームの一員として日々、成長を感じているという。加入にあたって「一番成長できる環境と選手がそろっているのがひとつ。リスペクトできる選手も多いし、自分と同じポジションで代表で戦った選手も多い中で、その経験は3年後、5年後、自分の糧になるというのが一番」と考えていたという。
一方で指揮官も報道陣から21歳のパフォーマンスを問われると、日本代表のシューターとして将来的な活躍できることを見込んで、この日の小澤をこう評した。
「明日も同じことができれば、たぶんナショナルチームで良い代表選手になれると思いますけど、今の段階では彼がそれを2試合連続でできる、ということがまだできていません。彼のポジションでナショナルチームへ行くには(3ポイントの成功率で)50%、60%ぐらいを打たなきゃいけない。そこもまだまだですけど、彼の努力、本当に頑張っているところは目立つので、明日もできたらまた違う答えかもしれません」
翌2月1日のGAME2では、名古屋Dは80-70で横浜BCに敗れ、小澤も8分52秒の出場で3ポイントシュートの成功も4本中1本という結果に終わった。ヘッドコーチの答えを覆すパフォーマンスではなかったかもしれないが、こうした経験の積み重ねこそが成長につながる。
レギュラーシーズンはまだ続く。地道な準備の先に、小澤飛悠は自信を大きく深める2試合を引き寄せるはずだ。
他会場の結果
B1リーグ第21節は、地区上位3強から勝ち星をもぎ取るチームが横浜BC以外にも現れたのが印象的だった。
東地区では越谷アルファーズがレバンガ北海道とのGAME2で、80-81と競り勝ち。220㎝のカイ・ソット(#11/C)がケガから復帰後最多となる20得点を挙げ、難敵撃破の立役者となった。また、群馬クレインサンダーズも宇都宮ブレックスとのGAME2を70-81で制している。
西地区では、佐賀バルーナーズがホームで千葉ジェッツと対戦。GAME1では最大19点差をひっくり返し、83-79で劇的な逆転勝利を収めた。
この試合では、タナー・グローヴス(#22/208cm/C・PF)が両チーム最多の22得点をマーク。さらに、東海大学在学中の特別指定選手、轟琉維(#8/169cm/PG)も10得点2アシストと存在感を示し、勝利に大きく貢献した。
【結果】B1 第21節(2026年1月31日 / 2月1日)
1月31日/2月1日
・仙台 71-80 A千葉 / 仙台 94-81 A千葉
・北海道 88-81 越谷 / 北海道 80-81 越谷
・宇都宮 71-67 群馬 / 宇都宮 70-81 群馬
・川崎 81-79 SR渋谷 / 川崎 58-73 SR渋谷
・滋賀 81-93 三遠 / 滋賀 76-73 三遠
・長崎 84-71 広島 / 長崎 98-74 広島
・京都 64-65 島根 / 京都 72-85 島根
・FE名古屋 85-88 琉球 / FE名古屋 73-61 琉球
・秋田 80-93 大阪 / 秋田 77-76 大阪
・横浜BC 75-95 名古屋D / 横浜BC 80-70 名古屋D
・佐賀 83-79 千葉J / 佐賀 76-95 千葉J
・茨城 64-90 三河 / 茨城 64-97 三河
・A東京 75-66 富山 / A東京 70-69 富山
【順位表】B1 第21節終了時点(2026年2月1日)
東地区
1位|レバンガ北海道|26勝9敗(.743)
2位|宇都宮ブレックス|26勝9敗(.743)
3位|千葉ジェッツ|26勝9敗(.743)
4位|アルバルク東京|24勝11敗(.686)
5位|群馬クレインサンダーズ|22勝13敗(.629)
6位|仙台89ERS|21勝14敗(.600)
7位|サンロッカーズ渋谷|15勝20敗(.429)
8位|横浜ビー・コルセアーズ|13勝22敗(.371)
9位|越谷アルファーズ|13勝22敗(.371)
10位|アルティーリ千葉|10勝25敗(.286)
11位|川崎ブレイブサンダース|9勝26敗(.257)
12位|茨城ロボッツ|9勝26敗(.257)
13位|秋田ノーザンハピネッツ|7勝28敗(.200)
西地区
1位|長崎ヴェルカ|30勝5敗(.857)
2位|名古屋ダイヤモンドドルフィンズ|27勝8敗(.771)
3位|シーホース三河|23勝12敗(.657)
4位|琉球ゴールデンキングス|22勝13敗(.629)
5位|広島ドラゴンフライズ|19勝16敗(.543)
6位|佐賀バルーナーズ|19勝16敗(.543)
7位|島根スサノオマジック|19勝16敗(.543)
8位|三遠ネオフェニックス|16勝19敗(.457)
9位|大阪エヴェッサ|15勝20敗(.429)
10位|ファイティングイーグルス名古屋|14勝21敗(.400)
11位|滋賀レイクス|12勝23敗(.343)
12位|京都ハンナリーズ|9勝26敗(.257)
13位|富山グラウジーズ|9勝26敗(.257)
取材・文=大橋裕之

