八村塁と河村勇輝が約2年ぶりにそろった日本代表は、何が変わったのか。
バスケットボール男子日本代表は、8月27日と31日に開催される「FIBA バスケットボールワールドカップ 2027 アジア地区予選 Window4」を控え、8月15日から2日間にわたる強化試合で快勝劇を演じた。約2年ぶりに八村塁と河村勇輝のNBA組が合流。来年カタールで開催される本大会出場に向けた重要な2次ラウンドを前に、桶谷大ヘッドコーチ(HC)率いる日本代表へ二人が何をもたらしたのか。
チームメイトの声から、その変化に焦点を当てる。

チームへ波及した「圧倒的な気持ちの強さ」

NBAで活躍する八村塁と河村勇輝(ともにロサンゼルス・クリッパーズ)が合流した日本代表は、韓国代表を迎えた強化試合で連勝を収めた。二人 がそろって出場した第1戦は88-68、八村ら3人が欠場した第2戦も95-66と、29点差をつける圧勝。チーム練習の時間が限られる中、序盤から主導権を握りつづける強さが印象的だった。

画像: 韓国戦を前に国歌斉唱を聞く八村塁選手(後ろの列の右)ら=15日、東京・有明アリーナ
韓国戦を前に国歌斉唱を聞く八村塁選手(後ろの列の右)ら=15日、東京・有明アリーナ

第1戦終了後のミックスゾーンで、馬場雄大(長崎ヴェルカ)は二人の合流効果について「全く負ける気がないじゃないですか」と切り出し、「彼らの圧倒的な気持ちの強さみたいなものは、チームに影響を与えたと思います」と証言。八村が22得点、河村が12得点6アシストを記録したように、「パフォーマンスでも相手選手を圧倒するプレー」が、チームに「ポジティブの連鎖」をもたらしていると実感していた。

富樫勇樹(千葉ジェッツ)も「塁との連携は、まだまだ(これから)の部分がたくさんある」としつつ、「塁と河村の二人が戻ってきての第一歩として、彼らがそろった事実がすべて」と語る。「世界と戦ってきたメンバーでもう一回、チャレンジできることが嬉しいです。彼らがNBAでステップアップしている中、戻ってきてくれて日本のバスケットに貢献してくれることはすごく嬉しい」と明かした。NBA組の合流は、チームに大きな自信と高いモチベーションを与えている。

「重力がすごい」…八村・河村がコートに立つ意味

二人の存在は、攻防両面で好影響を与えている。馬場は個の強さが際立つ二人を「重力がすごい」と表現し、相手ディフェンスを収縮させられると感じている。彼らがマークを引きつけてパスをさばき、周りがフリーのショットを高確率で決められれば、チームは一気に勢いづく。

「人もボールも動く」スタイルの中で、指揮官は「塁がボールを持った時にどう誰がカットするか、スペーシングをどう取るか。そういうところはちゃんと設定されていない」と話すが、理想的なシーンも生まれた。

第1戦の3クォーター残り9分過ぎ、八村がインサイドを攻めて韓国の守備を収縮させると、右45度に控えていた西田優大(シーホース三河)へパス。フリーになった西田が見事な3ポイントシュートを射抜いた。

守備面での効果もあった。第1戦で馬場は、二人が「オフェンスにかなりシフトしてくれたから」こそ、自分自身が「ディフェンスにシフトできた」と明かした。もともと「ディフェンスで流れをつかむところは意識していました」と考えていた馬場にとって、自身の強みをより発揮しやすい環境が整ったといえる。

画像: 日本―韓国 第2クオーター、日本の得点を喜ぶ八村(左)と馬場=有明アリーナ
日本―韓国 第2クオーター、日本の得点を喜ぶ八村(左)と馬場=有明アリーナ

新たな戦力が加わることで個々の役割が変わる選手も現われるが、馬場にその懸念はない。「例えば塁が下がった時間も(富永)啓生が得意のシュートを決めてくれていました。ある意味で自分たちが探り探りやっていく中で、答えみたいなものを自分自身で見つけているのかなと思います」とコメント。「最強で最高の一体感を」掲げるチームは、尖った個を得て確実に良い方向に変化している。

NBA組と共演でホーキンソンの負担減…「いい仕事ができた」

変化を実感しているのは帰化選手のジョシュ・ホーキンソン(東京サンロッカーズ)も同様だ。前体制から大黒柱として活躍し、予選では6試合中5試合に出場、平均21.6得点、同9.4リバウンド、同3.6アシストをマークし、平均34分超えの出場時間を記録するなどフル回転を続けてきた。

そんなタフな役割を担ってきたホーキンソンだが、韓国との第1戦を終えて表情を緩めた。

「毎回スクリーンをセットする必要がなくなり、ボールに触る回数もそこまで多くなくていい。ボールを持たない形でプレーして、コートに誰が出ているかによって、より5番的な動きをしたり、よりストレッチ型のビッグマンのような動きをしたりできます。塁と一緒にプレーする時間もありつつ、塁を休ませて自分だけコートに残ったり、逆に塁だけが出たりと、ローテーションを上手く組み合わせられたと思います。試合をうまくコントロールしながら、僕たちの強みや良い選手たちを常にコートに立たせておくことができた、いい仕事ができたと思います」

この日の出場時間は24分59秒。「30分を切ってプレーするのは久しぶり」と笑顔を見せ、「塁や、久しぶりに一緒にプレーする勇輝と、いいコミュニケーションを取りながらコンビネーションを作れたことを嬉しく思っています」と共演の喜びを語った。

「日々前進していく」…8月31日はホームでカタール戦へ

過去最高の戦力が揃った日本代表は、8月27日にアウェーでサウジアラビア、31日にはホームのTOYOTA ARENA TOKYOでカタールと対戦する。1次ラウンドを首位通過した日本は、2次ラウンド(グループF)で中国、サウジアラビア、カタール、レバノン、韓国と同組。今回のWindow4を皮切りに、2027年2月まで続くホーム&アウェー戦に臨む。本大会出場へ重要な2次ラウンド。まずはWindow4を連勝でスタートしたいところだ。

馬場は第2戦終了後、確かな自信と責任感をにじませながらこう語った。

「桶さんも、勇樹も、みんなが言っていますが、今起こり得る最強・最高のチームだと思います。本当にこれで結果を残せないんだったらというところまで考えていますし、いい意味で皆さんの期待をプラスに変えて、自分たちは日々前進していくと思います」

【日程】FIBAバスケットボールワールドカップ2027 アジア地区予選 Window4

アウェーゲーム
■日程|2026年8月27日(木)26:00
■対戦|日本代表(22位)vs サウジアラビア代表(65位) ※
■会場|サウジアラビア・ジッダ
■放送|2026年8月27日(木) 26:00~テレビ朝日にて生放送
■配信|ABEMA、DAZN、TVer

ホームゲーム
■日程|2026年8月31日(月)試合開始19:10(予定)
■対戦|日本代表(22位)vs カタール代表(76位) ※
■会場|トヨタアリーナ東京(〒135-0064 東京都江東区青海1丁目3−1)
■放送|2026年8月31日(月) 19:00~日テレにて生放送
■配信|DAZN・TVerでライブ配信

※カッコ内はFIBAランキング(2026年7月13日現在)

文=大橋裕之

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