今回は、私が高校時代に女子バスケ部で実際に体験した、ライバルだった男子バスケ部との忘れられない夏の出来事をご紹介します。

「体脂肪率20%を切る」が課せられた、あの夏

高校時代、男子バスケ部と女子バスケ部は、体育館を半面ずつ使って練習していました。私たちの代は、とにかくライバル意識が強く、「自分たちの方が強い」「本当はオールコートで練習したい」と、お互いに張り合ってばかり。

休憩時間になると、男子バスケ部が水を飲みに行った隙を見計らって体育館に鍵をかけたり、逆に私たちが締め出されたり(笑)。

今思えば子どもっぽいことばかりですが、それくらい本気で火花を散らしていました。先輩たちの代には男女で仲が良く、カップルもいたのですが、私たちにはそんな空気はまったくありません。

ライバルというより、敵。

そう言った方がしっくりくるくらい、バチバチの関係でした。

ライバルだった男子バスケ部との関係が大きく変わったのは、高校2年生の夏のことでした。当時の女子バスケ部は、とにかくよく食べていました。厳しい練習が終われば、「お腹すいた!! 」が合言葉。育ち盛りということもあり、練習量に負けないくらい食欲旺盛だったのを覚えています。

そんな私たちに、顧問の先生が告げたのは、

「体脂肪率20%を切るまで、体育館での練習は禁止。」

というルールでした。真夏の体育館から追い出された私たちは、炎天下で外練習をすることになったのです。 

最初の頃は、男子バスケ部も「今日は体育館を広く使える!」と喜んでいました。私たちも、その様子を横目に見ながら、「まあ、そうだよね」と思い、炎天下で練習を続けていました。

ところが日が経つにつれ、「まだ外なん?」「今日も外かよ、大丈夫なん?」そんなふうに声をかけてくれる男子部員が少しずつ増えていきました。
私たちは炎天下を走り続け、必死に体脂肪率を下げようと頑張る毎日でした。

そしてある日、突然、
「今日から体育館で練習していいぞ。」
と、体育館での練習が再開されたのです。理由は分からないまま、私たちは再び体育館で練習できるようになりました。正直、そのときは「よかった!」という気持ちしかありませんでした。
私たちが体育館に戻れた、本当の理由を知ったのは、ずいぶん後になってからでした。

男子部員の一人が顧問の先生に、
「先生も体脂肪率20%切ってるんですか?」

と声をかけてくれたのだと聞いたのです。

当時は本気で「敵」だとすら思っていた男子バスケ部。
まさか、見えないところで私たちのために声を上げてくれていたなんて、当時の私は想像もしていませんでした。競い合っていたからこそ、互いの頑張りをしっかり見ていたのかもしれません。
あの夏の出来事は、今でも私にとって忘れられない青春の思い出です。ライバルという存在の見方が、少し変わった夏でもありました。

【体験者:30代・女性、回答時期:2026年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材または体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Qolyコラムニスト:サトミ
学生時代は約10年間スポーツに打ち込み、現在は2児を育てる30代。競技経験と保護者としての経験を生かし、スポーツの魅力や親子の成長、スポーツの現場で生まれる人間ドラマを中心に執筆している。

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