例年にない狭き門、「2年生には無理」と言われた挑戦
娘が取り組むアイスホッケーのU9(9歳以下)全国大会選抜は、例年、小学3年生が主力です。
この年は候補者が例年以上に多く、当時小学2年生の娘が選ばれる可能性は極めて低いと、親の私たちも覚悟していました。選考は、複数回の練習と大会での成績をもとに行われる仕組みです。
周囲からも、「さすがに2年生だから無理だと思うよ」という冷ややかな声が聞こえてきます。
それでも娘は、選抜に向けた練習を一度も休みませんでした。挑戦する姿勢だけは崩さなかったのです。
緊張の選抜発表、読み上げられた娘の名前
発表当日、リンクサイドには候補となった選手とその保護者が集まりました。1人ずつ、名前が読み上げられていきます。
上級生の名前が次々と続くなか、その中に娘の名前がありました。しかも、2年生で選ばれたのは娘ただ一人だったのです。
その瞬間、周囲がどよめきます。私は、表情を変えないよう意識してこらえました。
選ばれた理由は、誰も見ていない場所にあった
大会終了後、選抜のコーチが以前から「技術が2年生離れしている」と娘を評価してくれていたことを聞きました。娘が選ばれた理由は、派手な結果や運ではありません。
周囲の目が届かない場所で、練習量を積み重ねてきた結果です。平日は小学校から帰るとすぐにリンクへ向かい、休日も開館から閉館まで全ての時間を自主練に費やすほどでした。
練習量やその集中力では誰にも負けていなかったのです。目立たない努力が、結果としてしっかり実を結びました。
全国大会で躍動する娘と、気まずそうな保護者たち
全国大会当日、娘は物怖じすることなく、堂々とリンクを駆け回りました。年上の選手たちに交ざっても、動きに一切の遅れはありません。
試合後、以前「無理だと思うよ」と口にしていた保護者と目が合いました。相手は気まずそうに視線をそらし、それ以上何も言いませんでした。
結果で語る娘の姿は、どんな言葉よりも雄弁です。周囲の評価を覆したのは、他でもない娘自身の努力でした。
【体験者:30代・女性、回答時期:2026年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:村岡栞里
子どものアイスホッケー環境を整えるため、九州から北海道への移住を果たした、並外れた行動力を持つ親目線ライター。5年を超えるキャリアを経て、新天地でさらなる高みを目指す娘の競技生活を「現在進行形」で全力サポートしている。これまでの道のりで、指導者や保護者間のリアルな人間模様、子どもたちが直面する葛藤を肌で感じてきた。今もまさにその渦中に身を置き、苦楽を共にしているからこそ紡げる「生きたエピソード」が最大の強み。現場のリアルな息遣いが伝わるコラムを執筆している。

