これは、子どもがミニバスチームに所属していた頃の実体験です。真夏の慰労会で、ある6年生の一言が大人たちの空気を変えた出来事を振り返ります。

大人の心を動かした、6年生の言葉

真夏のある日、朝から練習試合が続き、子どもも保護者もすっかり疲れ切っていました。

そんな一日の終わりに開かれたのが、チームの慰労会です。

本来なら、頑張った子どもたちを労い、保護者やコーチも楽しく過ごす時間。しかし、毎年の慰労会には少し困ったことがありました。

お父さんコーチがお酒を飲みすぎてしまうのです。

その日も、お酒が進むにつれて言葉は次第に荒くなり、友人でもある保護者を強い口調で責める場面までありました。

朝から子どもたちを支えてきた保護者も、すでにクタクタです。楽しいはずの慰労会は、いつしかお父さんコーチだけが楽しんでいるような雰囲気になっていました。

そんな中、一人の6年生がコーチに声をかけました。

実はその子は、少し前にベストメンバーから外されたばかり。悔しさをバネに、誰よりも自主練習に打ち込んでいました。

頑張りすぎるその子に、本コーチがかけていた言葉があります。

「休養も練習のうちだよ」

休むことも、次の練習や試合で力を発揮するために必要なこと。その言葉を、その子はしっかり受け止めていたのでしょう。

そして、慰労会で盛り上がるお父さんコーチに、真剣な表情でこう言いました。

「コーチ、睡眠も休養も練習の一部ですよね」

その一言をきっかけに、その日の慰労会はほどなくお開きになりました。

さらに翌日。保護者のグループLINEには、お父さんコーチから前日の振る舞いを謝るメッセージが届きました。

きっと、子どもの一言が心に残ったのでしょう。

スポーツでは、大人が子どもに技術や考え方を教える場面がたくさんあります。

けれど、大人から教わったことをまっすぐ受け止め、実践している子どもの言葉だからこそ、大人の心を動かすこともあるのだと思います。

子どもを育てているつもりの私たち大人も、ときには子どもたちの姿や言葉から、大切なことを教えられる。

あの夏の慰労会は、そんなことに気づかされた忘れられない出来事です。

【体験者:30代・女性、回答時期:2026年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Qolyコラムニスト:サトミ

学生時代は約10年間スポーツに打ち込み、現在は2児を育てる30代。競技経験と保護者としての経験を生かし、スポーツの魅力や親子の成長、スポーツの現場で生まれる人間ドラマを中心に執筆している。

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