体育は苦手、でもボウリングだけは祖父仕込み
私は学生時代から体育の授業が苦手で、体を動かす行事と聞くと気が重くなりました。入社1年目の秋、部署対抗のボウリング大会が開かれると知ったときも憂鬱でした。
ただし、ボウリングだけは事情が違いました。幼い頃から祖父に連れられて投げ続けており、アベレージは150前後あります。運動全般は不得意でも、この競技なら戦力になれると思っていました。
自己申告表だけで決まった「ベンチで見ててくれれば」
大会前、チームをまとめる上司(40代男性)は、集めた自己申告表に目を通しただけで、メンバー全員の前でこう言いました。
「運動が苦手な人は無理しなくていい、ベンチで見ててくれれば」
私を含む3人は、一度も投げないまま控えに回されました。申告表の1行だけで役割が決まったのです。
最下位発進とアクシデントで回ってきた出番
団体戦は、1人3ゲームの合計得点で競う形式でした。1ゲーム目を終えた時点で、私の部署は最下位。さらに、投げていたメンバーの1人が手首を痛め、交代が必要になりました。
上司は渋々といった様子で、控えの私を指名しました。2ゲーム目、久しぶりの感覚を確かめながら投げるうちにストライクが続き、スコアが伸びるにつれて部署の順位は一気に押し戻されていきました。
最終フレームのスペアと、上司が下げた頭
迎えた最終フレーム。あと1本倒せば3位争いが入れ替わる場面で、私に順番が回ってきました。残ったピンを狙ったスペアが決まり、部署は3位入賞を果たしたのです。
表彰が終わった後、上司は私のところへ来て「決めつけて悪かった」と頭を下げたのです。翌年からこの大会は申告制を取りやめ、全員が投げる形式に変わりました。
まとめ
「運動が苦手」という1行だけで、私は投げる前から控えに回されました。状況を変えたのは、順番が回ってきてからの1投1投です。最終フレームのスペアは順位を押し上げ、翌年の大会の形式まで動かしました。
得意なことは、申告表からは分かりません。チーム内の役割を決めるときは、まず一度、実際にやってもらう場を設ける価値があります。
【体験者:20代女性・会社員、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:Yutel_06
幼少期からさまざまなスポーツに親しんできた、10代の現役学生ライター。合気道やテニス、アーチェリーなど、ジャンルの異なる競技と向き合ってきた。自身の経験に加え、周囲にもスポーツに取り組む友人や知人が多く、競技の裏側や選手ならではの悩み、恋愛、人間関係など、リアルなエピソードに触れる機会がある。そうした実体験や身近な声をコラムとして執筆している。

