応援に来ていた父親に起きた、思わぬ出来事とは──?
高学年のミニゲーム大会
息子が通うサッカースクールで、4〜6年生を対象にしたミニゲーム大会が行われた。
息子が参加するため、父親はいつものように応援へ。
何試合かに分かれて、子どもたちは元気いっぱいにボールを追いかけていた。
ところが試合の途中、一人の子どもが転倒してしまった。
幸い大きなケガではなかったものの、そのまま離脱することに。
チームの人数が一人減り、交代できる選手もいない。
コーチが「誰か入れる人いないかな」と保護者に声をかけ始めた。
断れず参加することに
まさか保護者に声がかかるとは思っていなかった父親は、少し離れたところで様子を見ていた。
すると息子が、「パパが出たら?」と言い出した。
「いや、無理やろ」
そう思ったものの、コーチからも「少しだけでも大丈夫です」と声をかけられ、結局、父親が出ることになった。
久しぶりにサッカーボールを蹴る父親。
「まあ、子ども相手やし何とかなるやろ」
そう思ってピッチに入ったものの、試合が始まると想像以上に大変だった。
走れない。でも、ボールは扱える
子どもたちはとにかく速い。
ボールを追いかけようとしても、思ったように足が動かない。
一度ダッシュをしてしまえば、すぐにスタミナが尽きる。
「これ、思ってたよりしんどいな……」
父親自身も苦笑いしていた。
ところが、足元にボールが来ると様子が変わった。
トラップはしっかり止まり、相手が来ればボールをかわす。
味方が走り出せば、タイミングを見てパスを出す。
実は父親は学生時代にサッカーをしていた経験者。
体力も走る速さもすっかり衰えていたが、ボールコントロールだけは体が覚えていた。
最初は慌てていたものの、次第に慣れ、子どもたちとの連携も取れるようになっていった。
息子と同じピッチに立った日
試合の終盤には、子どもたちから「お父さん、こっち!」と声をかけられるほどになっていた。
最後には父親から息子へパスを出し、息子がシュート。
見事にゴールが決まると、二人は笑顔でハイタッチした。
試合後、父親は息を切らしながら「久しぶりに走ったから、もう足パンパンやわ」と苦笑い。
それでも息子は、「一緒にサッカーできて楽しかった!」と嬉しそうだった。
走る速さも体力も子どもたちにはかなわなかったが、経験者らしいボールさばきで、最後までチームの一員としてプレーした。
「感慨深い……」
父親はそう呟いて、目を赤くしていた。
思いがけない形ではあったが、親子で同じピッチに立ったこの出来事は、忘れられない思い出になった。
【体験者:40代・男性、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:maki
学生時代からスポーツ・部活動に打ち込んできた40代。現在はサッカースクールに通う子供の親として、スポーツと関わりを持つ。自身の経験談はもちろん、チームメイトや友人・知人から聞いたスポーツにまつわるリアルなエピソードを中心に取材し、スポーツの現場で起きた人間ドラマをコラムとして執筆している。

