これは、私の娘が九州にいた頃の話です。所属チームの練習は月4回のみ。技術を伸ばすため、片道6時間かけて関東のスクールに通うこともありました。地元開催の6倍以上、8万〜9万円かかる遠征を重ねて娘が得たものとは──。

月4回の練習では足りず、関西へ

私の娘はアイスホッケーに夢を持って取り組んでいます。現在はアイスホッケーの環境を整えるために北海道に移住をしたのですが、これは九州にいた頃の話です。

片道6時間、車を走らせて関西のスクールに通うことがありました。娘が所属していたチームの練習は、月にわずか4回。試合で通用する技術を身につけるには、この回数と自主練習だけでは足りないと感じたためです。

遠征先のスクールでは、地元にはない高いレベルの練習メニューが組まれており、限られた回数でも大きな刺激を受けていました。九州にいながら関西、関東から参加した選手たちと同じ練習ができる、貴重な機会でもあったのです。

1万2000円が9万円に膨らむ計算

地元開催であれば、2日間でスクール代は1万2000円で済みます。しかし関東への遠征となると、高速代・ガソリン代・宿泊費・食費を含め、8万〜9万円に膨らむ計算でした。週末のスクールのために、前乗りで1泊する行程がほとんど。地元開催の6倍以上にあたる金額で、決して安い投資ではありませんでした。

それでも、地元のチームだけでは得られない経験を積めることを何よりの理由に、他の習い事の予定を調整し、月々の家計から捻出しながら遠征を重ねる選択をしました。

顔なじみになった全国の選手たち

この遠征を重ねたことで、娘は関西・関東の選手たちと顔なじみになりました。同じスクールで肩を並べて練習し、練習後にはロビーで一緒に食事をしながら過ごすうちに、技術やプレーの傾向を互いに把握し合う関係になっていきました。

全国大会で再会する機会も重なり、学年も出身地も異なる相手ですが、会うたびにホッケーの話で盛り上がり、連絡先を交換して互いの試合結果を気にかけ合う仲間になりました。

遠征の先に得た「全国の戦友」

大会会場で再会するたびに、「身長抜かしたよ」「私この前の大会で得点決めたよ!」と話が弾みます。

地元だけでは出会えなかった仲間たちが、遠征を重ねた末に得た大切な財産です。今ではホッケーの仲間は、九州、関西、関東、中部、東北、北海道へと広がりました。「あの子もあっちで頑張っているから、私も頑張る」娘は今も、そう口にすることがあります。

全国に散らばる同世代の存在は、娘にとって競技への熱量そのものになっていることは間違いありません。

【体験者:30代・女性、回答時期:2026年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Qolyコラムニスト:村岡栞里

子どものアイスホッケー環境を整えるため、九州から北海道への移住を果たした、並外れた行動力を持つ親目線ライター。5年を超えるキャリアを経て、新天地でさらなる高みを目指す娘の競技生活を「現在進行形」で全力サポートしている。これまでの道のりで、指導者や保護者間のリアルな人間模様、子どもたちが直面する葛藤を肌で感じてきた。今もまさにその渦中に身を置き、苦楽を共にしているからこそ紡げる「生きたエピソード」が最大の強み。現場のリアルな息遣いが伝わるコラムを執筆している。

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