指先の粘着に頼っていたチームと、当日の「使用禁止です」
私は高校2年の秋、ハンドボール部の主将として新人戦に臨みました。当時のチームは粘着剤を使うのが当たり前で、指先に残る粘りでボールを保持していたのです。
当日、会場の体育館で受付を済ませようとしたところ、粘着剤は使えないと伝えられました。床の管理上の理由から要項にも記載されていましたが、部内では共有されておらず、選手が知ったのは試合直前でした。
前半だけで開いた点差と、ベンチで上がった責める声
試合が始まるとパスは指先から抜け、シュートに持ち込む前のボールも手からこぼれ、落球を重ねたまま前半だけで大量リードを許しました。
ベンチに戻ると「誰も見てなかったのかよ」という声が上がりました。向けられた先は、要項の確認を任されていた部員です。
「今それを言っても点は返らない」主将が止めた場面
私は「今それを言っても点は返らない。後半の話をしよう」と伝えました。責める声はすぐにやみ、ベンチの話題は後半の確認へ移ったのです。
後半の入りに全員へ伝えたのは、一つだけでした。
「無理に片手で持たず、両手で確実に受けよう」
得点差は縮まらず、初戦敗退という結果に終わりました。
敗戦から始めた週2回の練習と、春の大会
大会後、私たちは練習の中身を変えました。週2回、粘着剤を使わないメニューを組み込み、両手で受ける形を繰り返したのです。
冬の練習試合で落球は目に見えて減り、春の大会では新人戦の初戦で敗れた相手に競り勝ちました。
まとめ
ルールが共有されていなかったため、チームは前半だけで大量リードを許し、初戦敗退に終わりました。ベンチで犯人探しが始まりかけたとき、主将のSさんは後半の話へ切り替え、両手で受けるという一点だけを伝えています。
うまくいかない原因を誰かの落ち度に求めたくなる瞬間は、部活動でも社会人スポーツでも起こります。次の大会の前に、要項をチーム全員で一度読み合わせてみてください。当日に慌てる場面を、一つ減らせるはずです。
【体験者:20代・男性、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:Yutel_06
幼少期からさまざまなスポーツに親しんできた、10代の現役学生ライター。合気道やテニス、アーチェリーなど、ジャンルの異なる競技と向き合ってきた。自身の経験に加え、周囲にもスポーツに取り組む友人や知人が多く、競技の裏側や選手ならではの悩み、恋愛、人間関係など、リアルなエピソードに触れる機会がある。そうした実体験や身近な声をコラムとして執筆している。

