死角だらけの外周ランニング
3年生が引退するまで体育館の中に入れてもらえなかった私たちには、外周ランニングのメニューが必ず組み込まれていた。しかしこの外周ランニングには死角があった。
学校のグラウンドがとても大きいため、奥の方まで走ると姿がほとんど見えなくなる場所が半分近くあったのだ。悪知恵を働かせて楽をしようと考える部員にとって、この死角はこの上なく好都合な区間だった。
エスカレートしていくサボり組の行動
職員室前や体育館付近など、職員の目が届く区間に差し掛かるとスピードアップをして一生懸命さをアピールし、そして死角にたどり着くと一気にペースダウンして走る、という巧妙な手口でランニン
グをしていたサボり組。
顧問が見ていないことをいいことにその行動はさらにエスカレートし、死角に入るとのんびり歩いたり、しまいには座り込んで休憩する部員までいた。
私を含む、真面目に走っていた部員たちはそんなサボり組の身勝手な行動に嫌気がさしていた。
見ていなかったはずなのになぜ!?顧問の一言とは
3年生が引退し、私たち1年生もやっと体育館に入って練習できる日がやってきた。待ちわびていたその日を迎え、勇み足で体育館に向かった1年生部員たち。しかし顧問は、サボり組が凍りつく一言を放ったのだ。
「外周サボっていた人たちは体育館に入らないでね」
「え……!? なんで知っているの?どうしてバレているの? 」というサボり組の心の声が聞こえたような気がした。
顧問の恐ろしい情報網
後に聞いた話であるが、顧問は見ていないふりをしながら実は着実に情報を集めていたのだとか。私たちから見えないように外練習の様子を見ていたり、外で活動する部活動の顧問たちに私たちの観察を依頼し、情報を得ていたのである。
サボり組はしばらくの間体育館に入れてもらえず、そのうち退部していく者もいた。まさに因果応報とはこのことである。
【体験者:30代・女性、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:村木 あすみ
学生時代からスポーツ・部活動に打ち込んできた30代2児の母。また、公立中学校教員として勤務した経歴もあり、数多くの部活動にも携わってきた。自身のスポーツ経験や観戦、そして教育現場で見聞きしてきたリアルなエピソードをコラムとして執筆している。

