平然と嫌味を言うママ友を黙らせた、コーチの一言とは──?
「羨ましいわ」に隠れた本音
私は息子が所属する少年野球チームで、あるママ友の言動に悩んでいた。
保護者会や試合の待ち時間になると、
「やっぱり試合に出られる子と出られない子って、最初から差があるのよね」
「いつも洗濯が大変。補欠だとたいして汚れないから羨ましいわ~」
などと、補欠の子を持つ保護者たちの前で平然と言うのだ。
周りはその度に愛想笑いで相槌を打ち、ママ友の機嫌を損ねないようにしていた。
補欠の子たちも必死に努力していた
ある日の地区大会でのこと。
試合は終盤まで一進一退の接戦。
1点をリードされたまま迎えた9回裏で、監督が告げたのは補欠の子の名前だった。
「代打、A」
ベンチ裏やスタンドが、一瞬ざわついた。
Aくんは緊張した表情で打席へ向かう。
そして、誰もが予想していなかったことが起きた。
土壇場で補欠のAくんが逆転の一打
Aくんがフルスイングで放った打球はぐんぐん伸び、レフト線を破る同点二塁打。
続く打者の内野安打でAくんはホームを駆け抜け、チームはサヨナラ勝利を摑み取った。
ベンチから飛び出した仲間たちが、Aくんを揉みくちゃにして喜んだ。
レギュラーも補欠も関係ない。
みんなで抱き合い、飛び跳ねて喜んでいた。
私も思わず涙が出そうだったのを覚えている。
ふと隣を見ると、あのママ友は黙ったままグラウンドを見つめていた。
いつもなら「うちの子が」と話し始めるのに、その日は何も言わなかった。
コーチの一言に、ママ友が顔面蒼白
試合後、選手たちと保護者が集まって挨拶をする。
そこでコーチは、選手たちを見渡しながら話し始めた。
「今日、勝てたのは誰か一人のおかげじゃありません。試合に出ている子も、出ていない子も、みんな努力をしています」
そして、少し間を置いて続けた。
「野球は、人を比べるためのものではありません。仲間と共に切磋琢磨し、仲間を信じることを学ぶ場所です」
コーチは最後に保護者たちを見渡しながら続けた。
「子どもたちは、もうそれを分かっています。大人も見習わないといけないですね」
その瞬間、あのママ友の顔からみるみる血の気が引いていくのが見えた。
誰かを名指ししたわけではない。
それでも、コーチが何を伝えたいのか十分すぎるほど分かった一言だった。
その日以降そのママ友は大人しくなり、平和な少年野球の日々を送っている。
【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:maki
学生時代からスポーツ・部活動に打ち込んできた40代。現在はサッカースクールに通う子供の親として、スポーツと関わりを持つ。自身の経験談はもちろん、チームメイトや友人・知人から聞いたスポーツにまつわるリアルなエピソードを中心に取材し、スポーツの現場で起きた人間ドラマをコラムとして執筆している。

