初めてのミックスダブルスへの挑戦
筆者がテニスの市民大会で、仲の良い年上の女性から誘われて初めてミックスダブルスに出場した時の出来事です。それまでは男子ダブルスしか経験がなく、ミックス特有の勝手がわからないため不安を抱えていました。しかし、ペアの女性は年上でリーダーシップのある人です。そこで作戦面は彼女に任せて思い切って出場を決意しました。緊張の第一試合は、相手が素人レベルの若いカップルだったこともあり、難なく勝利を収めました。
迎えた第二試合とセオリーを覆す作戦
事件が起きたのは、続く第二試合でのことです。対戦相手は見るからにベテランの雰囲気を漂わせるご夫婦ペアでした。ミックスダブルスにおいては、一般的に女性側を狙ってポイントを取るのがセオリーです。しかしここで、ペアの女性の鋭い勝負勘が働きました。彼女は「ここはあえて男性を狙おう」と驚きの作戦を提案してきたのです。そこから私たちは、決め球をすべて相手の夫へと集める徹底した作戦を展開し始めました。
夫の激しい動揺とコート上の夫婦喧嘩
試合が進むにつれ、相手の夫は自分ばかりが執拗に狙われていることに気がつきました。すると目に見えて落ち着きをなくし、当たり前のようにミスを連発するようになってしまったのです。その不甲斐ないプレーに、ペアである奥様がついに激怒。コート上で言い合いが始まり、あっという間に激しい夫婦喧嘩が勃発してしまいました。試合どころではなくなった相手ペアは棄権を選択し、私たちは見事な勝利を収めたのです。
相手の力関係を見抜いた見事な勝負勘
試合後、ペアの女性に作戦の真意を聞いて驚かされました。彼女は、相手の奥様が非常にテニスが上手い実力者であることを事前に知っていたのです。そのうえで夫婦の力関係や心理状態を的確に見抜き、あえて夫を狙うことで相手のペースを崩すという見事な作戦を立てていました。技術のぶつかり合いだけでなく、対戦相手の人間関係までも計算に入れた恐るべき頭脳戦には、すっかり脱帽するしかありませんでした。
【体験者:50代・男性、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
Qolyコラムニスト:おかもとたかひで
鍼灸師の国家資格を保有し、スポーツにおける故障の治療を中心に活動している。特に高校生の部活動でのケガからプレー復帰までの道のりや、ケガ予防を含めたコンディショニング指導に注力しており、過去にはオリンピック選手の治療に携わった経験も持つ。また、自身も千葉ロッテマリーンズの試合観戦に頻繁に足を運んでおり、球場での熱気や、ファンと選手の間で生まれるリアルなエピソードを交えたコラム執筆も行っている。

