これは、筆者の元勤務先に入社してきたアルバイトAの話。
自由な働き方を求めてアルバイトをしていたA。年配社員から「若いしゴルフできる金なんてない」と決めつけられた、Aの意外な正体とは──?

「自由に働きたい」と話していたアルバイトのA

私の勤務先に、当時20代の男性Aがアルバイトとして入ってきた。
Aは正社員のように決まった曜日や時間で働くよりも、掛け持ちしたり、まとまった休みを取ったりできる、少し自由度の高い働き方がしたいと話していた。
仕事は真面目で、特に目立つタイプでもない。
私は「最近の若い人は、いろいろな働き方を考えているんだな」くらいに思っていた。

ゴルフの話で年配社員から嫌味

ある日、社員たちが休憩中にゴルフの話で盛り上がっていた。

「最近の若い子はゴルフせぇへんのかな」
「難しいけど、やったら面白いのになー」

そんな話をしていると、Aにも話題が振られた。
Aは「そうですね」と相槌を打ちながら、愛想笑いをしていた。

すると、嫌味を言うのが好きな年配社員が登場。
「Aはほら、若いしゴルフできるほど金ないって!」と笑った。
私は「さすがに言い過ぎでは……」と思った。

「僕の名前、検索してみてください」

するとAは怒るでもなく、少し笑いながらこう言った。

「僕の名前、検索してみてください」

その場にいた社員が言われた通りに検索すると、Aの名前とともに、ゴルフの大会結果が表示された。
「えっ……これ、A?」
全員が驚く中、Aはプロゴルファーとして大会に出場していたことを明かした。

アルバイトをしながら競技を続けていた

実はAは、ゴルフだけで生活できるほど有名な選手ではなかった。
プロとして活動するには、遠征費や練習費なども必要になる。
そこでAは、競技を続けながら生活費を稼ぐためにアルバイトをしていたのだ。
掛け持ちをしたり、まとまった休みを取ったりできる働き方を希望していたのも、試合や練習の時間を確保するためだった。

Aの話を聞いた社員たちは、「そうやったんか!」と驚いた様子。
先ほどまで笑っていた年配社員も、気まずそうに「いや、知らんかったわ」と苦笑い。

Aは、
「確かにゴルフってお金もかかるし、若い世代の競技人口は少ないです。僕はやってますけどね」
と言って、業務に戻って行った。

「若いからゴルフなんてできない」と思われていたAは、ここの誰よりもゴルフに詳しい人物だった。

【体験者:20代・男性、回答時期:2026年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Qolyコラムニスト:maki
学生時代からスポーツ・部活動に打ち込んできた40代。現在はサッカースクールに通う子供の親として、スポーツと関わりを持つ。自身の経験談はもちろん、チームメイトや友人・知人から聞いたスポーツにまつわるリアルなエピソードを中心に取材し、スポーツの現場で起きた人間ドラマをコラムとして執筆している。

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