大会前日なのにふわふわした空気が漂うチーム内
今からもう15年ほど前のこと。翌日の大会に向けて前日練習はいい雰囲気で終わろう、と思いながら練習に向かった。
しかし体育館に入ると、ピリッとした緊張感もなく、いつも通りの練習をただこなしているように見えた。チーム全員の気持ちが明日の大会に向いていないように感じた私は、練習を止めてすぐに集合をかけた。
我慢できずに蹴り飛ばした壁、腫れていく足
「明日がどれだけ大切な大会だか分かっているのか? この大会にかける思いはその程度なのか? この練習の様子じゃ、今まで懸命に練習してきたことを発揮できるような状態ではない!」
──そう部員に話しているうちに、どんどん感情が高ぶってきてしまった。そして気付くと、近くにあった壁を思い切り蹴り飛ばしていた。
その瞬間、足に激痛が走った。そしてそれとともに変な音がした気もした。激痛で顔が歪みそうになったが、これだけ熱く部員たちに指導しておいて格好がつかない。絶対に部員に気付かれたくなかった私は、怒って体育館を出ていくふりをして職員室へ戻った。
職員室になんとか辿り着いたが、痛みは増すばかり。そして次第に腫れてきた足を見てただ事ではないことを悟った。しかし大会前の最後の練習だ、このまま帰宅するわけにもいかない。痛みをこらえて体育館に戻り、なんとか練習を終えた。
整形外科の先生が一言……「折れていますね」
整形外科に行くと、悪い予感は的中し、先生から「折れていますね」と言われた。歩くこともままならず、部員たちに隠すことも不可能だろうと悟った。
翌日、恥ずかしい気持ちでいっぱいになりながらも部員たちに骨折したことを報告。部員たちは、自分たちのせいでこんなことになってしまって申し訳ないと大反省。少しくらい笑ってくれた方が気が楽だったのだが……。
この大会で私は審判も担当することにもなっていたが、とてもできる状態になかった。大会役員に事情を説明し、謝り倒して審判員の交代までしてもらう事態になってしまったのだ。
“冷静な自分”を見失わないように
大会前日でいつになく気合いが入っていた私だったのだが、結果的に多くの人に迷惑をかけることになってしまった。私にとっては“黒歴史”でしかないのだが、今でもその時の部員たちと会うとこの骨折事件は必ず話題に上がる。
「熱意の中にも、冷静さを忘れないように」と、自分の戒めになる大きな事件となった。
【体験者:30代・女性、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


