これは、筆者の息子と同じサッカースクールに通うAくんとBくんの話です。Aくんの母親目線でお届けします。
仲良しのAとBくんだが、サッカーの練習中はよく喧嘩になってしまう。そこへ、珍しく練習を見に来ていた【ある人】が、喧嘩中の2人の首根っこを摑んで連行した結果──?

普段は仲良しなのに、練習になると喧嘩

息子のAは小学4年生。
同じサッカースクールに通うBくんは同じ学校で、普段から仲の良い友達。
時々喧嘩もするが、サッカーの時は特に喧嘩が多かった。
ボールの取り合いやちょっとした言い合いから、2人はすぐに喧嘩になってしまう。

「今のファウルやろ!」
「そっちが先に押したやん!」

そんなやり取りが始まるたび、コーチが間に入って注意してくれていた。
私たち母親も、喧嘩の話を聞いたり現場を見たりした時は、息子たちを叱っていた。
コーチにも「息子にはきつく言ってもらって大丈夫です」と伝えていたが、なかなか直らなかった。

また始まった喧嘩

そんなある日、仕事を早く終えた夫が、途中からこっそり練習を見に来ていた。
練習も終盤に差しかかったころ、嫌な予感がした。
案の定、AとBくんがまた揉め始めた。

夫はしばらく黙って見ていた。
周りにいた保護者に、
「また……いつもすみません」
と私が頭を下げていた時、夫が突然グラウンドへ向かって歩き出した。

まるで2匹の子猫と飼い主

「A! B!」
低く大きな声が響き、コーチも子どもたちも一斉に振り返った。

夫は2人のところまで行くと、Tシャツの襟元を摑んだ。
そして2人をそのままコートの外へ。
「コーチ、いつもすみません。ちょっと借ります。練習続けてください」
そう言って、2人のTシャツの首元を掴んだまま、端の方へ連れて行った。

首根っこを摑まれた2人が、さっきまでの威勢はどこへやら、しょんぼり連れて行かれる姿に、
「やんちゃしすぎた子猫2匹を回収する飼い主みたい」
と、他の保護者たちは微笑ましく見守ってくれていた。
しばらくすると2人は戻ってきて、すっかり大人しくなっていた。

父親の迫力にはかなわない

練習が終わってからAに何を言われたのか聞いてみた。
「2人が喧嘩してるせいで、コーチやみんなの練習時間を奪ってる。喧嘩したいなら、練習が終わってからやれ」
と強く言われたそうだ。

思わず笑ってしまった。
私も散々同じことを言っていたはずだが、やはり父親の迫力にはかなわないのだろうか。

それからというもの、練習中に大きな喧嘩をすることはなくなった。
コーチや母親たちが何度注意しても直らなかった2人を黙らせたのは、ひょっこり練習をのぞきに来た父親だった。

【体験者:40代・女性、回答時期:2026年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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